メギドは意識生命体であるという解釈もできなくはないですが、そもそも肉体を得て生命として発生しない限り、自我を持つことも意識活動もままなりません。
また身体を失えば世界に干渉する手段を失うので事実上死んでいるわけですし、残された魂もなんらかの手段を講じない限り、そのうち蒸発して完全に消えてしまいます。
メギドは意識だけで生きている、生きることが可能であるというわけではなく、厳密には魂だけになってもある程度は自己が保存される、生命活動という定義が一般的な生命体よりも少し広い、程度の話だと思ってください。
またメギドの個の成り立ちには段階があるため、その点でも単純にメギドの魂それ自体を指して意識生命体だとはいえません。
メギドの自我、個を包括する魂がどのように変化していくか、簡単には以下のようになります。
1:「叫び」の状態
彼の世界から飛び出したばかりの、まだはっきりとした意識のない、個として生まれる前の魂です。
2:成り損ないの状態
幻獣の体を奪い、自分が今ここに居るという自覚を最初に持つに至った魂です。しかしまだ自分がなんなのかよくわかっていません。
3:メギドとしての発生
メギドとして存在が固定された、正しい意味での個が誕生した状態の魂です。
ここから様々な知識や経験を得て、名前を持つメギドの1個体として世界に対して影響を与えるべく活動を始めます。
この段階にならないと、メギドと呼べる存在にはなっていません。
4:メギドの体が死亡
体の寿命か、あるいは戦争によって肉体が死亡した状態です。
この段階ではまだメギドの魂は残っていて、そこには個としての記憶から能力を含む肉体の情報がすべて収められています。
この状態の魂こそメギドの本質ともいえますが、魂のまま存在できる期間は長くありません。
個体差はありますがだいたい数時間~数日程度で消滅します。
5a:なんらかの形で再度肉体を得た状態
他者の介入を必要としますが、魂だけを保存して別の肉体に移植することが可能です。
別の肉体は、人工的に作られたもの、生前になんらかの方法で肉体をコピーしたもの、逆に魂だけを抜き取ったり殺したりしてメギドの体だけ残されたものなど、いくつかの選択肢があります。
こうしたやり方で魂の状態から再び失われた個を取り戻して活動することができます。
ただし肉体がなんでもいいというわけではないので、メギドラルではまだ安定した技術ではありません。
5b:ヴィータへの転生
成功するとは限らないのですが、メギドの魂はヴィータという他の生命体の魂に憑依して転生するといったことまで可能です。
ただし転生の場合は憑依した魂に影響されて、本来メギドとして持っていた個が大きく変質してしまいます。
具体的にはメギドの記憶が完全ではない場合が多く、転生に成功しても記憶を取り戻さないまま死ぬ場合も多いです。
また体も基本的にはヴィータであって、自力でメギドの体になることはできずフォトンを扱うこともままなりません。
そういう意味では転生後のメギドを、同じメギドの状態として含んでしまうのは少し無理があるかもしれません。
5c:ソロモンの指輪による肉体再生
ソロモンの指輪を使って、魂だけのメギドに一時的な肉体を与えるということが可能です。
この肉体はフォトンから構成されているため、再現性は高くても自力で長く維持することはできない不完全なものです。
ただし指輪使用者のイメージが極めてはっきりしている場合(魂の側からイメージの提供や共有を受けている場合)に限り、同じようにフォトンから再構成されてもほぼ完璧な肉体を与えることが(ただし指輪使用者にとってより理解しやすく再現性が高いヴィータの肉体での再生になりますが)可能です。
実際にこのやり方で、魂だけの状態から肉体を与えられたメギドが劇中でも何名か存在します。
とはいえ指輪を使うことができるヴィータのほうがメギドよりもずっと短命な種族なので、短期的には都合の良いやり方ですが長期的には先がない袋小路的なやり方でもあります。
6:エルダーへの変化
ある意味、メギドが魂の側に主体性がある構造になっているのは、最終的にエルダーとなるためだといってもいいかもしれません。
5cにあったフォトンからの肉体再生を、肉体を持ったままの魂が単独で実践するというやり方です。
フォトンを使う必要があるので、これは肉体を持っているうちに実践しなければならず、しかも失敗すれば自分の肉体は消滅してしまう(厳密には魂ごと幻獣に成り下がってしまいます)ので、かなりの覚悟が必要な、ある意味自殺に近いやり方です。
しかし成功すれば、メギドという生命の真の完成形であるエルダーになることができます。
それはもともと幻獣の肉体を寄生するようにして奪い、個としての存在を成長させてきたメギドが、寄生していた肉体を捨てて自分の魂をそのまま実体化させるような現象です。
一度エルダー化に成功したメギドは、たとえ肉体が滅びかけても自力で再生し、それこそ戦争以外ではほとんど死なないような究極の生命体となります。
6(例外):アスモデウス、またはリリス
エルダーではないのに、なぜか魂だけでも曇りのない意識を存続させ、時には自力で肉体を再生してしまうほどの力を持った存在がアスモデウスです。
エルダーがメギドの正当な完成形だとしたら、アスモデウスは戦争の中で異端の進化を遂げた別の完成形なのかもしれません。
メギドというものが、魂だけで存在できる意識生命体なのではないかと考えた場合、限りなくそれに近い実例がアスモデウスなのです。
肉体を再生するほどではありませんが、リリスもまた魂だけで個を存続させている例外的なメギドです。
このように、メギドがいわゆる普通の生命体となにが違うのかといえば、それは個として存在する期間が体を持って活動している前後にも亘っているところです。メギドの主体は魂であり、たとえ肉体が無くなったとしてもまだ個というものが残る、そのような生命体なのです。
※回答が長くなったため、今回はこの一問のみになります。