【5周年】メギド質問箱※12/26更新

これまでアジトで特にお酒を飲むメンバーというと、フラウロスやメフィスト、インキュバス、カスピエルのような陽気にお酒を飲む面々でした。

静かに飲むメンバーもいるにはいたのですが、そうしたメギドたちは大抵アジトではあまり飲まず、酒場などに出向いてしまっていたのです。

そのため、お酒を飲まない子供メギドたちは「お酒というのはああやってバカ騒ぎして飲むもの」と思い込んでいる節がありました。

しかし、そんな彼らも、アジトで静かにお酒を楽しむアルマロスやチェルノボグらが加入したあたりで、「どうやらバカ騒ぎするとは限らないらしいぞ」と気付き始めたようです。ろくに言葉も交わさずただただ静かに杯を傾けるアルマロスやチェルノボグの大人な雰囲気は、子供たちの目から見てもカッコイイものらしく、「ああいう感じなら大人になって酒を飲むのもいいかも」と密かに思っているメギドもいるのだとか。

その一方で、フラウロスたちのようにバカ騒ぎするのが楽しそうと思っているメギドもいます。

アジトに新入りのメギドが入ってきた時、最初に聞かれがちなのは「料理が得意かどうか」です。

料理当番はいつも交代で誰かが務めることになっていますが、中には壊滅的に料理が下手なメギドもいますから、そうしたメギドが料理当番などになった日には食事は苦行でしかありません。

そうした経験から、次第にフルフルやアミー、アイムといった料理上手なメギドが何度も料理当番をやることが多くなってしまいました。しかしフルフルはどこかで寝ていて捕まらないことが多いですし、アイムは基本的にペルペトゥムにいるのでアジトに来れる回数は限られています。アミーは裁縫や洗濯なども担当していて料理に専念できるわけではありません。

そのためアジトでは常に「料理上手（できればあまり忙しくない）」なメギド」を求めているのです。ニスロクなどは料理上手という点ではこれ以上ないメギドでしたが、多忙のためアジトにいることが少ないのが難でした（その代わりアジトにいる時は絶対に何か作ってくれるのですが）。

最近ではウコバクが、ほぼ常駐の料理担当メギドとして活躍している他、フィロタヌスなども料理を学んで実践しています（やや子供向けの味付けのため大人のメギドからの受けはいまいちですが）。

東方のメギドたちがアジトに出入りするようになったことで、「外の世界の文化」に興味を持つメギドが増えました。

特に純正メギドたちの多くは「ヴァイガルド」というと「なんとなく同じようなヤツがいっぱいいる世界」だと思っていた節があるので、「隔絶された独自の文化を持つ世界」がヴァイガルド内に存在していたことにかなり好奇心を刺激されたようです。

また純正メギドに限らずとも、やはり東方の存在への好奇心からか、普段はあまり他のメギドと率先して話さないメギドたちが、東方のメギドには話しかけたり、あるいは東方メギドの話題になると入っていったりしています。

仲間同士の交流が増えるという点ではソロモンにとってもうれしいところですが、東方のメギドたちもそれはそれでアクが強い面々なので、トラブルに発展する種が増えたという点では困ったりもしています。

最近ではインキュバスがチユエンに「女性の扱い方」を教え、それを鵜呑みにしたチユエンが王都でおかしなナンパを繰り返したため問題になり、２人ともめちゃくちゃ怒られました。

アジトでは、仲間が増えたことによる弊害が出ています。

普段、皆がたむろする大広間がメギドでいっぱいになっているのです。そのため、古くからいるメギドたちが特定の場所を独占することが多くなり、新しく参加した者がなかなかそこでくつろげないという問題です。

現状ではまだ解決策がないのですが、大広間をもっと大きな超広間にするという案があります。ただしこれは大工事の上、構造的に問題はないのかという意見もあるため実行に移すとしてもかなり準備に時間がかかると思われます。また、単純に広すぎる場所が嫌だとか、広い場所ができることで、そこで鍛錬するような者が出てくるのが嫌ととかいう意見もあります。

もう一つの案として、現在食堂で使っている広間を改造して第二大広間にするというものがあります。こちらはこちらで問題があり、その後は食事をどうするのか、またソロモンが帰ってきている場合、第一と第二でソロモンの取り合いになってしまうのではないか。それはかえってテリトリー意識が強めてしまって、アジトに派閥ができてしまうのではないかという強い懸念があり、こちらも実行に移すのは難しそうです。

今のところは、天気のいいときは大広間から繋がっている中庭にテーブルと椅子を並べて大広間出張所を作ったり、ゲームに興じたり雑談を楽しむ者は食堂や図書室のほうを利用したりして凌いでいます。

アスモデウスには、基本的には弱点のようなものはありません。

ただ性格的なもの、尊大さや目的に対してストイックなところ、ヴィータの営みを小バカにして世界レベルの目標ばかり追い求めるところなどが、場合によってはマイナスに働くことがあります。そこが弱点と言えなくもないです。肉体的な弱点は、ヴィータの身体であるということ自体が弱点なので、特別言及するようなことではありません。

苦手なものに関しては、いかにアスモデウスとはいえいくつかあります。
アスモデウスが梅雨が苦手なのは、雨というものが自分を囲う檻のように感じて不愉快だからです。意外と繊細なところもあるので、戦闘に関係ないところで雨に当たり続けているとイライラするのかもしれません。ヴィータの身体なので、冷えたり感覚が鈍ったりする微妙な弱体化もイライラポイントです。（もちろんアスモデウスには、そこで傘を差すというような秩序的発想がありません。アスモデウスにとってそれは敗北に等しい、自己の矮小化なのです。）

また、大規模な戦争のようなものが苦手です。アスモデウスは単体で強く、また自身が先頭に立って勝手に戦いたいタイプなので、あまり仲間を生かすタイプのリーダーにはなれません。大罪同盟のように、仲間がアスモデウスと同等の力を持つ者に限ればそれでもいいのですが、本来なら集団戦闘というものは味方を駒として動かさなくてはなりません。こうしたことをちまちま考えるのがアスモデウスは苦手なのです。大局的なことを考えるのは好きだし得意なのですが、実際の戦闘は少数精鋭でやりたい…という滅茶苦茶わがまななリーダーなのです。

しかしこうした面も、指輪保持者であるソロモンの少数精鋭戦闘とは相性が良く、アスモデウスをうまく生かしてくれます。また、弱点でもあるヴィータの身体も、指輪の力でメギド体に戻れるので、その間は克服されます。そうしたことから、アスモデウスはメギド７２という軍団、また口ではあまり言いませんが召喚者であるソロモンのことを、だいぶ気に入っているのです。

マモンはインテリアに興味を持っています。

マモン城はメギド社会の中では珍しい拠点で、城の内部はマモンの趣味によりできる限りエレガントに仕立てられていました。それでもあそこは戦闘用の砦であって宮殿ではありません。実はマモンを最初に驚かせたのは、他ならぬアジトでした。マモンはそこでカルチャーショックを受けたのです。なぜならアジトは、用途や各々の趣味によって「部屋の雰囲気がまるで違う」からです。マモンはそこで、部屋という限られたスペースは、自分の思うがままにカスタマイズできる専有空間なのだという概念を初めて理解したのです。このアジトでは、それを自分にも与えられる。マモンは他のどのメギドよりも、その意味や価値をかけがえのないものとして受け取りました。

そして同時に、家具や壁紙、カーペットやカーテンで部屋を飾るということに、強く興味を持ったのです。鏡のような小物ひとつとっても、ヴァイガルドのものは意匠を凝らして美しく飾り立てられています。豪華な化粧台、花瓶や化粧瓶、お香など、メギドラルではお目にかかれなかった品々を見て、これは…と感動に打ち震えました。「頭に広がったイメージ」をここでは形にできる。自分が（イヌーン込みで）過ごす空間を自由に作り上げることができる。

ただし、そこは古メギドでもあるマモンです。極めて理性的な面もあるので、いきなりハマってインテリア用品を買い漁るような下品な真似はしません。まずはなにがこの世界では上等なものなのか。それを学ぶために、ウァサゴやヴィネ、マルバスといった高級品を知る者からいろいろ教えてもらいつつ、良い店を訪れて物色することが現在の趣味のようになっています。部屋はマモン城に比べればあまりに小さく、スペースは限られるため、慎重な判断が要求されるのです。インテリアの本質はどれを選ぶかよりも、なにを選ぶべきではないかを見極めることである、とマモンなりに戦略を定めました。とはいえ家具１つから膨らませられるイメージは多彩で、どういう部屋が最良なのかなかなか判断がつきません。しかし膨らみ続けるイメージの蓄積、終わらない計画立案は、それ自体がマモンにとってヴァイガルドで得た新しい喜びでもあるのです。

ただ、ヴァイガルドならではの不満もあります。

高級な家具店ほど、イヌーンを一緒に入店させてくれません。イヌーン自身は立場が違えば扱いも違うことを自然に思っているので、特に不満とも思わないのですが…マモンとしては、革ソファの「踏み具合」はどうか、テーブルの下の居心地はどうか、カーペットの「腹触り」はどうか、爪が引っかからないか、ぜひイヌーンの意見も聞きたいのです。（採用するかどうは別ですが）

メギドラルには猫という、ヴァイガルドの猫と極めてよく似た（ほぼ同じ）小さな獣がいます。

ベルゼブフはこの猫という獣を好んでいたようで、幻獣ほどではないが役立つ存在、美しく誇り高い、精神的な意味ではメギドによく似た生物だとよく周囲に語っていました。しかし反面、ベルゼブフはメギドが化けた「黒い猫」には興味を示さず、間者としては使っていません。

黒い猫を戦争に使うのは、主に「ベルゼブフ派」といわれる、バビロン計画を推進する一派です。ただし諜報活動歴において、黒い猫は黒い犬にまったく及びません。そもそも黒い犬たちと違い、黒い猫はそれをまとめている組織さえあるわけではないのです。

黒い猫は、黒い犬を後追いする形で生まれてきた存在です。黒い犬はサタンによって組織された存在なので、間接的にライバル関係にあるベルゼブフ派を快く思っていません。そのためベルゼブフ派の軍団には、間者として使うには黒い犬はいまいち信用がならんという共通認識がありました。（ただしこれは偏見です、本心がどうであれ黒い犬たちは基本的に職務に非常に忠実です）

そこでベルゼブフ派は、ベルゼブフの猫好きに合わせて、間者の役割を与えたメギドに黒い猫の姿を取らせるようになったのです。そのことが広まるにつれ、逆に「黒い猫の姿をしたメギド」たちが自らを軍団に売り込んでくるようになりました。これが黒い猫とよばれるメギドたちです。組織として存在するものではないので、それぞれの能力や目的、考え方などが黒い犬たちに比べて非常に多彩です。

黒い猫たちが、全体でどれくらいの数存在するのかはよくわかっていません。統括している組織がない上に、間者なので各軍団がどれだけ黒い猫を使っているのか、あまり明かさないからです。ただ、単独で好きなことをしていたり、大きな作戦に絡んでこないところを見ると、黒い犬ほど数はいないようです。

肝心のベルゼブフが猫を好きな理由、特別に大事にした猫がいるかどうか、などはよくわかっていません。 ただベルゼブフは、メギドたちが増えてきた黒い猫をからかう「塗れてニャワー」という判別法を本気にし、わざわざ議会経由で禁止させたという話が残っています。自身が意図したわけでもない黒い猫たちのせいで、敬意を払っている本物の猫たちが害されることに、密かにベルゼブフは怒りを覚えたのかもしれません。

単純に偶然です。

現在劇中に出ているフライナイツの主だったメギドたちが、それぞれの理由において眼帯をしているだけで、フライナイツ関係者だから眼帯をつけるというルールはありません。

ガギゾンは、片目がメギド体に影響されるのか、そこからフォトンが流出して疲れてしまうため、それを抑えるために眼帯を付けていました。今はヴィータ体が強化されてその不具合はないですが、ベルゼブフの姿がああいうものなので片目だとお揃いになり、ちょっといい感じがしたので眼帯を付け続けています。だから実は外そうと思えば普通に外せます。

エウリノームは、かつての傷を自らの誇りとしてヴィータ体を修復せずに残しているだけです。メギドにとっては不可逆ではないので治そうと思えば治せるはずですが、意外と本人が眼帯をした今の姿を気に入っているようなので、ずっとあのままだと思います。

バールベリトは、まだ秘密です。

ただ、傷も含めてヴィータ体を気に入っている、眼帯をすることに意味を見出すということ自体が、フライナイツを選んでいる存在の琴線に触れそうなので、もしかしたら他にも「偶然」そのようなメギドが出てくるかもしれません。

不死者とくくっていますが、実際には規格外の転生メギドたちをそう呼んでいるだけなので、それぞれにおいて能力が違います。

たとえばアスモデウスは本当に不死になりかけていて、自力でフォトンを集めてヴィータ体以外のものに変身する能力まで身に付けました。（かっこいいものではないですが…）
不死者たちにもまだ知られざる能力はありますが、必ずしも戦闘に役立つもの、かっこいいものとは限りません。劇中で描かれるかどうかもわかりません。

コラン（バエル）は、自覚している能力ではないのですが、ものすごい地獄耳です。能力的にはただの地獄耳ですが、機能的には思考が言葉を形作った際のひらめきを感知しています。だからひそひそ話をしている、なにかこっそり話しているということ自体を直前に察知しているので、あのように鋭い反応をするのです。（電話がかかってくる前にピンとくる能力に似ています）
また、磁気のような力を手から発して、肩こりを治したり疲れた頭を活性化させたりできます。我知らずプランシィがコランを溺愛するのは、そうした効果を得ていることも関係しています。プランシィにとって、コランはひらめきを生む刺激、触って愛でるエナジードリンクのような、とても便利…役立つ子です。

パイモンは、あまり強くないのですが、魔法で言うところの「魅了（チャーム）」の力を持っています。彼がダムロックよりナンパの成功率が高かったのは、顔や人間性だけの問題ではなかったのかもしれません。ダムロックがそれを知ることがなかったことが幸いです。また、筋力に関してはああ見えて結構人間離れしています。

ベレトは、実は怒り狂ってもお腹が空かないというとんでもない能力を持っています。つまり怒ることで、生きていくために必要なエネルギーを自ら生み出すことができるのです！！！召喚後に得た力なので本人はまったく気付いていませんが、ベレトは怒り続けてさえいれば、飢死だけはすることがないのです。ただし水は必要なので、水分補給もなく怒っている場合は死にます。また、アジトで大事にされている弊害で、気を許した仲間が近くにいる場合や甘いものを食べた場合は怒りを持続できなくなるので、この能力が役に立つ（自覚される）ことはなさそうです。

ベリアルは、あまり評価されていませんが、フォトンを操作する技能とそれを物体に定着させる技術において、メギドラル・ヴァイガルドで最高の技術力を持っています。他に類を見ない分野の技能のため、そもそもアルスノヴァ血統を（短期間で）作り上げた天才だということが、なかなか周囲に理解されません。知られていない情報どころか、知られている情報が既にものすごいのだと、劇中の誰も気付いてくれないのです。本人も気付いていません。フォトン操作技能とは、簡単に言えばソロモンが指輪でフォトンバーストを拡散させた際のテクニックのようなものです。つまりベリアル本人がアルスノヴァ血統になれば（別の弊害は多く出ますが）理論上最強のソロモン王になるはずなのです。しかし本人はちゃっかり自身がアルスノヴァ血統にならない処理を施しているので、最強のソロモン王が生まれる可能性はありません。また技能的に最強でも人格面やリーダーシップ的にあまりに不適格なので、ベリアルがソロモン王になったからといって勝算を得られるわけではありません。

バラムは、あまり大した力ではないのですが、実は薄いバリアを張ることができます。ときどき異様に敵からの攻撃に打たれ強いのはこのためです。ただ、殴られかけた人間が思わず手を前に出すような反射的行動として出てくるものなので、本人はこれを能力として振るうことができません。バリア自体も薄いうえに範囲も狭いので、この力のことはなんとなく察していますが、特にアピールすることもないのです。

ルシファーは、アジトでも裁定者として活躍しています。

細かいところでは意見を違えることも多い軍団のメギドたちの間では、かなり人気があるようです。

一番人気のある裁定は夕飯のメニュー決定です。たとえば、今晩は焼き魚か、野菜の煮込みか、というようなことで揉めた場合です。ルシファーは真面目なので、使用される食材がコスト的に平均値を超えていないか、今の人数分提供するとしたら１人あたりがどれくらい食べられるか、直近のメニューから考えてチョイスが偏っていないか、アレルギーで食べられない者がいるかどうか、調理者のスキルからよりおいしく作られる可能性があるのはどちらか、いろいろ考えてくれます。さらに、ルシファー自身が食べたいもので裁定は決して左右されないとみんなわかっているので、決定には従いやすいのです。

また、施設の使用順や仕事の優先度、インプのイタズラに対する罰則の度合いなど、様々な面でルシファーが呼ばれます。その人気ぶりを見てベリアルが不貞腐れるくらいです。

ただ、ルシファー自身は複雑な気持ちも抱いています。
夕飯のメニューにおいても、裁定のための判断基準となる分析を聞いて、裁定を待たず全員がこっちにしよう！と決めてしまうことも多々あります。トイレ掃除の順番、料理当番も、人のいいサラやアイムが、裁定に不満顔のメギドを気遣って代わってあげることも珍しくありません。それ自体はルシファーもよしと思っています。アジトはそういうところで、メギド７２のメギドたちはそういう者たちなのです。

ただ、それでも…
裁定に従うというのは、本来ならば絶対のルールなのです。かつての大罪同盟のように「いつまでも意見を違えていても仕方がないので、裁定者の決定には従うのが絶対の共通ルール」という感覚が身についているわけではありません。それはルシファーも理解しています。ただ、時代が違うというのはたしかに感じるのです。

ルシファーは今日もアジトでうれしそうに、そして密かに寂しそうな顔をしながら、裁定を行っています。

レジェ・クシオはヴィータの街に似ていますが、細かいところではだいぶ違います。

レジェ・クシオにはハルマゲドンの作戦に必要な小規模研究施設のようなもの、レジェ・クシオ自体の都市機能維持のための施設、統一議会場や裁判所などがありますが、全体から見ればほんの一部を占めているにすぎません。人間社会のように、重要なものが都市に集中しているわけではなく、逆に大事なものほど他のメギドから隠すため、レジェ・クシオとは違う場所に用意されているのです。また、メギドたちにとって軍団とは人間社会の会社のようなものに相当しますが、レジェ・クシオに社屋のようなものはほとんどありません。メギドの軍団というのは、基本的にはホームレスなのです。

レジェ・クシオに専用の居住スペースを持っているのは限られた者だけになります。たとえば議会を運営する者たちはあまりレジェ・クシオからは出て行かないので、ある意味仕方なく専用の居住スペースを持つのです。またダゴンや有力なメギドたちは、軍団を収容できるほどの広大な専用スペースを与えられています。これも権力があるから得られたというより、議会に深く関わっている軍団だからレジェ・クシオに縛り付けられていたと考えるほうがメギドたちの感覚に近いです。

大部分の、普通に戦争しているメギドたちは用があるとき以外は寄ってこないので、実はレジェ・クシオの建物の８割以上は「必要に応じて役割を作るフリースペース」、つまり公共の空き家です。

統一議会中は、それらのほとんどが外から来た者たちが滞在するための、即席の居住施設になります。いわゆる宿ですが、ヴィータ社会の宿とは違い、早い者勝ちで空いているところを探して勝手に入り込みます。面倒なのでレジェ・クシオを運営する組織（議会とは別にそういうものがあります。フリアエの所属する裁判所もこちらの管轄になります）も、いちいち届け出のようなものを求めてきません。軍団単位で建物に入り込んで抑えている関係上、あまり表沙汰にはなりませんが、スペースを巡って軍団同士の戦闘（武器を持たずヴィータ体のまま格闘する、つまりケンカ）が頻繁に起こっています。そうしたいざこざは当事者間で勝手に収束しますが、役割が決まっている場所、あるいはレジェ・クシオ定住者の専用スペースに外部の者が侵入した場合は深刻なトラブルになります。外から来た者たちにもわかりやすいよう、そうした役割を持つ建物は、外観や区画によって分けられています。

レジェ・クシオには商業施設のようなものはありませんが、最低限ヴィータ体の機能を維持するための食事を提供する場所があちこちに用意されています。そこは一貫して用途が定められた施設で、外から来たメギドも気楽に入ることができる場です。そこそこ広いですが憩いの場とは言い難く、基本的に食べるものを食べたらすぐに出ていくような場所です。そこでは戦闘で使えなくなった幻獣や獣、適当に拾ってきた植物をどろどろに煮た、はっきり言ってかなり不味いものを提供しています。メニューはありません。それぞれの場所で、それぞれに作られた微妙に違うものが出てきます。

他に、外から来る者はほとんど知りませんが、レジェ・クシオにずっと居住している者や外で活動する傍らおいしいという感覚に目覚めたメギドたち有志による運営で、秘密の食堂がいくつか存在しています。その食堂では、簡単ですが一応味のついた料理と言えるものが出てきます。ただしメニューはありません。

ヴィータ体の機能を維持するためといえば、ヴァイガルドでは医者の類が必要ですが、メギドラルではそうしたメンテナンスは個の問題と割り切られています。よってレジェ・クシオ内に医療施設はありません。その代わり、メギドの力を使ってもよい特別解放場が用意されています。これは監視付きの体育館のような施設で、そこを利用することで一時的にメギド体に戻って自分を治癒する、あるいは各軍団や、定住メギドの中にいる回復機能を持つメギドに力を貸してもらう（劇中でもソロモンを助けようと名乗り出た者たちがいます）、というのがメギドたちの日常感覚です。

レジェ・クシオの中には、外からいろいろなものを持ち込む者が大勢います。そうした物品の提供場所として、空いている建物の中で突発的に商店のようなものが作られることがあります。そのような商店はレジェ・クシオの管理側からはグレーゾーンギリギリなので、場所を特定せずゲリラ的に開催され、ある程度の時間で閉じられます。品物が少ない場合は１人で露店のようなことをやるメギドもいますが、これはメギドラル的には相当危ない行為です。ただ、統一議会前後はメギドが多く出入りするため、商店は飛躍的に増え、管理側もあえて無視することが多くなります。

商店の中で特に多いのが、武器屋に相当するものです。武器の所持や持ち込みはレジェ・クシオでは特に制限されていないので、ここで変わったものや掘り出しものを求めるメギドも多いのです。ときには、武器や道具を作ることを専門にしているメギドが出品していることもありますが、多くは軍団の一員が死んだときに残したものを処分するためのものです。これらは同じ場所で同じ時間にあるというものではなく、たまたま空いている場所を見つけたメギドがたまたま処分したいものを出品しているだけなので、知らないと行けないし、たまたまそれを知るという機会もそうあることではありません。ヴィータの街のように、ここには店があるというような導線が用意されているわけでもありません。情報源は口コミだけです。それでも、なぜか武器や道具の類は多くのメギドたちに行き渡っているようです。

メギドにとっては、有名な戦場などがそうです。

劇中にも出てきたフォトン解放区「乾くことなき血の荒野」の他、「絶望を注ぐ盃岩」、「臓物と骨の大密林」といった戦場が名所となっています。

また、冒険心溢れるメギドたちは「脳消し大陸」というところを目指すことがあります。ここはエルダーに呼ばれた者が目指す場所とも言われていて、行った者はそこであったことを忘れてしまうと信じられています。名所という意味ではなく、メギドラルの謎がそこにあるという意味で、メギドとして生まれたからには一度は意識する場所です。ただ、物忘れはともかく実際にそこへ行くと言い残したまま帰ってこないメギドが無数にいるので、議席を捨てろ、この世から消えろというような意味の「脳消し大陸へ行け」という悪口に使われることもあります。

まず前提として、もしもメギドの魂がヴィータという生物として生まれてきたらどうなるか、そのシミュレーション結果が個々のヴィータ体となって実体化されます。

その姿はそのメギドが持つもう１つの正体と言ってもいいもので、それを最初から意識的に作り上げるということはほとんどできません。メギドたちは最初に模倣して偶然出来上がったヴィータ体を、生涯自分のもう１つの姿とします。（そのためメギドたちは、相手のヴィータ体を初めて見た場合でも、魂が持つ雰囲気をなんとなく感じて誰だかピンとくることが多いようです）
その上で、メギドがヴィータ体を調整する方法は大まかに２つあります。

１つは、加齢や筋肉の量といった、基本的な姿に手を加えて調整するやり方です。魔法のようにパッとできるということが特殊なのであって、こうした変化自体は普通のヴィータが長い時間をかけて行う肉体改造や変化といったものと大差ありません。その気になれば髪や爪を急に長くのばしたりもできます。肌の色も、日に焼ける程度の変化であれば、一瞬で変えることもできます。ただし、骨格そのものを大きく変えたり、肉体に予め備わっている特徴を出したり消したりといったことはできません。（できるように見えるメギドがいたとしたら、それはもう１つのやり方でやっています）
これらの調整は、ヴィータと違って逆のベクトルへの変化もある程度可能なので、たとえば若返ることができます。

もう１つは、今の姿とは全然別のヴィータ体を学ぶことです。簡単に言えば、最初の１つとは別のヴィータ体を作り、変身できるバリエーションを増やす方法です。こちらは、それができるメギドのほうが珍しいというほど難易度が高い方法です。その分、姿としては全然別人になれるので、体格自体まるで違うもの、髪や目の色が違うもの、性別まで違うものになることができます。（劇中ではフルーレティがもう１つのヴィータ体を学んでいます）
ただバリエーションのほうのヴィータ体は、やはり前提となる最初の姿とは違うので、あまり細かい調整はやりにくいようです。
ちなみに黒い犬や黒い猫に変化しているメギドも、こうした全然別の姿を学んだものたちです。黒い犬の場合は手っ取り早く犬の姿を学ぶため、犬の毛皮（ガワ）を纏うことで変身の難易度を下げています。だから黒い犬たちは基本的には皆同じ犬の姿をしていて、黒い猫たちはもっと自由にさまざまな猫の姿を模倣しています。

誕生日は以下の通りです。

ジルベール：6月13日
サラ：4月1日
カスピエル：3月3日
ジズ：11月5日
マルチネ：5月20日
ウコバク：8月29日
チェルノボグ：9月6日
アリトン：不明

年齢と誕生日は以下の通りです。ついでに彼らのヴィータ名も記載しておきます。

チユエン（ヴィータ名：ウーコン）：20歳 3月7日
ヴリトラ（ヴィータ名：ファングー）：22歳 9月4日
アンダカ（ヴィータ名：セーゲン）：36歳 4月28日
ギリメカラ（ヴィータ名：トモヱ）：28歳 5月5日
マガツヒ（ヴィータ名：ヤソ）：11歳 3月30日
シェンウー（ヴィータ名：リンクィ）：32歳 11月3日
チンロン（ヴィータ名：ビセン）：41歳 6月29日
バイフー（ヴィータ名：シュエ）：19歳 12月23日
チューチャオ（ヴィータ名：ヒバリ）：15歳 2月14日
フーリーチン（ヴィータ名：クズハ）：年齢不明（推定200歳以上） 1月1日
マナナンガル（ヴィータ名：エンラ）：26歳 7月7日
カガセオ（ヴィータ名：アマツ）：52歳 6月21日

なお、ツルギは5月5日生まれの17歳です。

身長についてはデザイナーだよりなどで公開される事もあるかもしれません。

「東方十二傑」はカクリヨにおける（建前上は）唯一の武装組織であり、王都におけるエルプシャフト騎士団のような位置づけになります。

それゆえ、基本的に尊敬の対象となっていますが、個人による程度の差はあるとはいえ「継承の儀」により異形化してしまう彼らの事を、内心で恐れている人々がいる事も否定はできません。
継承メギド達はそうした事情を察した上で、人々と慣れ合い過ぎず一定の距離を保つ傾向にあります。

しかし、人々との繋がりが失われれば国を守るという務めに支障をきたす可能性もあるため、フーリーチンや、継承家系の人々が、民と継承メギドを結びつける役割を担っているのです。

特にフーリーチンは人々の悩み相談などを受けたり恋占いをしてあげたり、普段から気さくに人々と接しているため、「お狐様」と呼ばれて街の人々に慕われています。

カクリヨの古い文献や言い回しからの引用のようです。

しかし、すべてがカクリヨ独自のものというわけではありません。壁により分断される前は、カクリヨの存在する区域も現在のエルプシャフト文化圏と交流があったため、エルプシャフト文化圏に残っている言葉も存在します。

シェンウーは古い書物を蒐集するのが趣味で、先人が残した言い回しを好んで用います。しかし、ほとんどの継承メギドはそこにあまり興味がなく、「また何か言っているな」というくらいの反応しかしません。シェンウーはそれを少し寂しく思っています。

東方のメギドたちにとって一番の驚きは、やはり人や街の多さでしょうか。

カクリヨにはそもそも都市と呼べるような集落は都であるユーゲンひとつしかなく、その他はエルプシャフトにおける「村」程度の小さなものです。
また、住んでいる人々も基本的にはすべて顔見知りのようなものですから、王都を訪れた東方のメギドたちはみな、見知らぬ人がたくさんいる規模の大きな街に面食らってしまうのです。

また、街に存在する店の多様性についても驚きの対象でした。カクリヨでは、こういうものを買いたいならこの店、というように限られた専売店がいくつか存在するだけなのです。そのため、衣服や化粧品などを扱う店の多彩さにヴリトラは驚きつつも歓喜して、隙を見付けては密かに王都で買い物をしています。 チユエンは、あちこちの飲食店を巡るのを楽しみにしていますし、シェンウーは古い書物を扱う商店にいくつも通っているようです。他の東方のメギドたちも、王都などの大都市に来ることがあれば、きっとそれぞれの楽しみを見付けるでしょう。その時がいつになるかは、まだ分かりませんが……そう遠くはない未来かもしれません。