【4周年】メギド質問箱※12/31更新

20歳からです。

ヴァイガルドの酒場は食堂や宿泊施設を兼ねた場所が多いため、子供でも入ることができますが、お酒は提供されません。

同様に、アジトでも子供にお酒は飲ませません。軍団が王都（シバの女王）から資金援助を受けていることもあり、意外に厳しくルールは守られています。もしルール違反がバレた場合、予算が削られかねないからです。仮にそうなった場合、節約として削られるのは酒を始めとした嗜好品になるのは間違いないので、酒飲みたち自身が不利益を被ると考えているのです。

純正メギドたちもソロモン王の召喚を受けている場合はヴァイガルドのルールに従う方針で、バナルマの姿をしている者には飲ませないよう気を付けています。

王都以上の規模の都市はヴァイガルドには存在しません。

トーア公国、ヴェステン公国などは時に「大国」などとも言われますが、王都の規模に比べればあくまで小都市に過ぎません。

エルプシャフト文化圏はあくまでエルプシャフトを中心とする事を前提とした国家です。そのため、エルプシャフト以上の規模の都市の建造はそもそも認められていませんし、都市の拡張の際には「公国」であってさえ、厳しい制限を受けているのです。

本来はアジトで作ってもらう特別なものなので、残念ながら関係者以外に提供される機会はほとんどありません。

ただ、既にエルプシャフトではコーヒーもそう珍しいものではなくなっているため、王都や都市部のお店でも、偶然同じ名前をつけられたコーヒーが提供されていることがあるようです。そちらのものには希少な素材（「灼熱の爪」など）は含まれていないですし、豆の配合も微妙に違うかもしれませんし、ダンディさは付け髭などでカバーするしかないかもしれません。

しかし大雑把に言えばヴァイガルド独自のブレンドならすべてガルドブレンドなので、代わりにそうしたものを探してみるのも1つの方法かもしれません。

一般的な人々に移動手段として認知されているのは馬車、あるいは馬そのものです。

馬車には個人所有の物や、運賃を払って一定の目的地まで運んでもらう乗合馬車がありますが、市街地を離れれば盗賊や獣などの被害に遭う事も少なくないため、乗合馬車が運用されているのは比較的安全に移動できる近隣に集落がある街に限られます。辺境ではロバやラバ、牛などを乗り物として用いる地域もありますが、これはあまり一般的ではありません。

海辺の港町では船で別の港町に移動する例も見られます。ただ、海はヴァイガルドの人々にとって未開拓の領域であり、わざわざ船を用いて別所に移動しようとする人々はそこまではいないようです。

辺境のとある地域では「飛行機」のような乗り物を開発していたりしますが、これは移動手段として用いるには不安定で危険が多く、またそれに用いられている技術も広く流布していないため一般に広まるのはまだまだ先の事になりそうです。しかしメギドの知識や古代の技術などを用いれば、「空を飛ぶ乗り物」の開発は実現不可能なものではないでしょう。

その他にも内燃機関を用いた乗り物を開発しようとしているヴィータはいるようですが、現状では「歩くより遅い速度でしか走れない車」や、逆に「それなりに速いが止まれない車」などしか開発できておらず、移動手段に使えるかどうかは未知数です。

あります。 他愛ない遊びがルール化され、多く者たちの間で親しまれるようになる、という流れで広まった競技です。

競技人口の多いものはよりよい道具が職人によって作られたり、貴族がスポンサーとなり都市部で大会が開かれたりするなど、経済活動を伴うほどに発展しています。いくつかをここで紹介します。

まずは生活に密接したものから発展した競技として、馬に乗る競技があります。仲間内で誰が一番馬に乗るのが上手いかを競うことから始まり、今では単純にスピードを競うもの、障害物の置かれた悪路をいかに走破するか競うもの、複数の乗り手が交代しつつ街から街へと何日もかけて競われるものなど、いくつもの競技にわかれて発展しています。

同様のことでは、戦闘訓練を兼ねた遊びから発展した、殺傷力のない剣で戦う武術競技、弓矢を正確に当てる競技などが盛んです。これらは勝利者がスポンサーである貴族に雇われたり、送り出した村や自警団（大抵の騎士団はこうした競技への参加を認めていません）の名誉になるなど、参加者にとってのメリットが大きいため、様々な大会が次々と開かれ、競技者も増える一方です。また、スポーツというには極めて野蛮ですが、本物の武器を使った武術大会も開かれることがあります。こうした方面は密かに賭けの対象となって多額の金が動いたり、観客が金を払ってでも見たがるほど熱狂するため、たとえ競技人口が少なくても定期的に大会が開かれます。 少し変わったところでは、指定された洞窟や森に隠された檻の中に、興奮した牛や猪を追い込むという少し危険な競技もあります。これはおそらくゲートから現れた幻獣を追い返したという事実が起点になって、その言い伝えや再び起こった場合の備えとして訓練していたものがそのまま競技にまで発展したようです。

他にも、船や機械で動く乗り物を使うような特殊な競技も新たに生まれつつあります。こうした競技の大会は開催地の経済を潤す効果があるため、近年ではあちこちの町がまだ一般的ではない競技を大きく発展させようと努力しています。

「原材料」的な意味では、王都独自の特産物というのはないのですが、各地から集まってきた原材料を元にした「加工品」の中には特産物と呼んで差し支えないものもあります。

一例を挙げれば、衣服がそうです。農作業や狩りなどで生計を立てる者の割合が多い田舎では高価な材料を使った衣服はあまり需要がなく、シンプルで丈夫なものが好まれます。対して王都ではそうした人の割合が少ないため、「着飾る」という行為が広く浸透しているのです。また化粧品なども王都の特産物といえるほど、他地域にはない多様性に溢れています。

食べ物で言うとお菓子のチョコレートは原材料の産出地は王都ではありませんが、王都の洋菓子店が売り出した事で徐々に世界的に広まりつつあります。これもある意味では王都の特産品と言えるかもしれません。

米作はありますが、ヴァイガルドでは小麦のほうが圧倒的に生産量が多いです。

米作は地方の一部で麦の代わりに作っているところがある、という程度の生産量しかありません。王都であれば常に商店に並ぶほど安定して入ってきますが、小さな町や生産地から遠い町では扱われていないことのほうが多いです。一般的にもそれほど好まれている食材ではないようです。また調理法も、まずバターなどで軽く炒めてからスープで煮込むようなやり方のほうが好まれます。日本風というよりはヨーロッパ風の米料理になります。

話は飛びますが、日本では合鴨農法というものがあります。ざっくり言えば鴨がネギを背負ってついでに米も育ててくれるという夢のような農法なのですが、ヴァイガルドならバンキン族による「モフ農業」が可能かもしれません。まだ実現したわけではないのですが、もし実現した場合、米作が大いに注目を浴びて米料理ブームがヴァイガルドに来るかもしれません。

モフたちが総出で米を育ててくれる。それを商人が適当に売ってさ、炒ってさ、炊いてさ、蒸してさ。モフたちの作ったモフ米をヴィータたちがモフモフと食べる…そんな未来がこの先やってくるかもしれません。

王都で密かに流行しているのが「ブックカバー」です。

そもそも本は最近までかなり高価なもので誰もが読めるようなものではなかったのですが、近年では印刷機の発明によって庶民でもどうにか手が出せる程度には広まってきました。それでも安価なわけではないので「本を読む」というのはある種のステータスですし、本は大切にするもの、とされています。

そういう背景があった上で「ブックカバー」という発明が流行するに至るのですが、これにはとあるメギドが関わっています。アンドロマリウスです。

外出先でも本を読みたい彼女は、本を汚してしまうリスクにいつも怯えていました。なにせ彼女は読み始めると夢中になる性質なので、近くを人が走り抜けても気にも留めません。その結果、すれ違う人が踏みしめた泥が跳ね、本の表紙に付着してしまう事もしばしばだったのです。

外でも本が読みたい、けれど大切な本を汚してしまうのは嫌だ。悩んだ結果、彼女は本の表紙に余っていた紙を被せる事を思い付きました。世界にブックカバーが誕生した瞬間です。

そんな彼女をたまたま見ていた商人が「これは売れる」と感じ、様々なデザインのブックカバーを作って売り出し、それが読書家に受けて流行が始まったわけです。

しかしその発明者たるアンドロマリウスはそんな事にまるで気付いておらず、商店でブックカバーが売り出されているのを見て「わあ、こんなの欲しかったんですぅ！」と歓喜しました。

今では紙製のものから革製のものまで、様々なブックカバーが売られています。

ヴァイガルドではヴィータの身体について統計的なデータが取られていないので、正確なところはよくわかりません。

ただ、一般的なヴィータ（ルネやコラフ・ラメルのマスターなど）から見た場合、転生メギドや純正メギドたちは（ついでにハルマも）「背の高い者が多い」印象があるようです。つまり、一般的なヴィータの平均身長は彼らの平均を下回っていると考えられます。

転生メギドだから背が高くなるという根拠はないので彼らはたまたまなのかもしれませんが、純正メギドについては、おそらくメギドとして他を圧したい気持ちが抑えきれず、ついつい気持ち大きめのヴィータ体を取ってしまう…ということは考えられます。

また、ソロモン王やシバの女王が、取り立てて背が高いとも低いとも言われないのは、この両者が男女それぞれの平均身長に極めて近いから…ということも考えられます。この２人の身長と同じくらいか、気持ち低いくらいが、おそらくヴィータの男女の平均身長なのではないかと思われます。

・ソロモン王の身長／172cm
・シバの女王の身長／160cm

ハルマが特別に彫刻のモチーフになっているわけではありません。ミカエルが

特別なのです。ミカエルは他のハルマと異なり、ひとつの場所に留まらず、様々な土地を放浪してヴィータと接触しています。その長い歴史の中で、ミカエルの肉体美に魅せられた彫刻が、たまたまいたのでしょう。ひょっとするとミカエルをモチーフとした絵画や音楽なども、どこかに存在するのかもしれません。

「某家」がゴールドオイルの製法を秘伝の知識として所有している事は事実ですが、

そもそもゴールドオイルは「某家」しか作れないものではありません。

油の質を決めるのは原料や「純度」によります。庶民の使っている一般的な油は不純物が多いため、燃やしても高温になりにくかったり、煤が多く出たりします。そういう油から不純物を取り除く作業（精製）をする事で油の純度が増し、より上質なものとなっていくわけですが、ゴールドオイルはそうした精製油の中で「最上級の油」を意味する言葉なのです。王宮の機関により選定され、認められた油のみが「ゴールドオイル」の名を冠して売る事が可能となります。

その材料、精製法は産地や作者によって異なるとされていますが、味や質などにあまりブレがない事から、一定の規則のようなものはあるのでしょう。しかし材料が何かなどは公表されてはいません。

純度の高いゴールドオイルは、食用油としてはベタ付かずさらりとした口当たりで健康にも良いとされ、また燃料油としてはランプに使えば少量でもひと晩は燃え続け、煤などもほとんど出ないとされています。

バーカウンターでバーテンダーを担当するのが誰、というのは特に決まりがありません。

バーのカウンターのような作りを（構造上は）していますが、要するに好きなときに好きなように飲めということなので、お店のように常にバーテンダーを置く必要はないのです。

ただ、その場で飲む者が多くなった際に、いちいち入れ替わり立ち代わり酒を注ぎにいくのが面倒臭いとか片付ける者がいないと散らかる一方だとか、酒以外のものも出してほしいなどの理由から、適当な者が役を買って出たり頼まれたりすることがあります。

バーテンダー役を自主的によく買って出るのはバルバトスとメフィストです。数人で飲んでいるうちに自然とカウンターの中に収まっているパターンが多いです。ただメフィストにカクテルを作らせるとほぼギャンブルになるため、カウンターに集まる常連はメフィストがそこに収まっているときは素直に酒瓶から注いでもらうだけにしています。（それでも変なものが入ることはありますが）

頼まれてよくバーテンダーをやっているのはミノソンです。ミノソンは計算上手なせいかカクテルを作るのがうまく、場を盛り上げるのも上手です。また、頻度は高くありませんが、その場にいて他に用事がなければアリトンやマルファスもやってくれることがあります。アリトンは口を挟まない寡黙で有能なバーテンダーとなるため、静かに飲みたい者たちからは好評です。マルファスも、本人は酒を飲めない年齢ですが店で経験を積んでいるので気は利くし、腕もなかなかと評判です。

カクテルまでは作れませんが、ムルムルも頼まれれば適当にお酒を注いだり片付けたりといった雑用をこなしてくれます。ムルムルはそれだけではなく、興が乗ればバルバトスの演奏付きで踊りも披露してくれるので、酒を飲まない者までカウンター周りに集まってくるのが特徴です。

その他、興味本位でやってみたいと勝手にカウンターの中に入り込む者たちもいます。ソロモンもその一人で、フォトンドリヴンカクテルなるものを作ってみたかったようです。ただフォトン以外は適当な材料を混ぜただけだし、本人はまだお酒を飲めないので味見もできないため、あまり好評ではありませんでした。（バラムとヒュトギンだけは褒めてくれたようです）

アジトはもともと騎士団の保有する砦の1つだったこともあり、地下に大型の下水処理施設が作られていて、

トイレも風呂も清潔で規模の大きいものが用意されています。

トイレは広々としたスペースに個室が6つほど連なっているタイプのものが設置されています。（男女の使い分けは、奇数階、偶数階で分けられています） アジト内に部屋が数多くある分、それぞれにトイレを設置する余裕はないため、基本的にトイレは各階で共有されたものを使用します。（部屋によって例外があります） かつて砦だったころは仕切りもなく、等間隔に丸い穴の開いた木造の長いベンチに並んで座って用を足すものだったのですが、メギド７２に譲渡される前に大改装を受け、個室としての仕切りに美しい文様のある陶器製の便器、心安らぐランタンに清潔な壁掛け、カーテンの仕切り、洗い用の桶などが完備された（現地基準で）超近代的かつ豪華なトイレへと変貌を遂げました。

風呂は、陶器製のバスタブにお湯を運んで、部屋の中で身体を洗うというスタイルが一般的なものなので、アジトの転生メギドたちも最初のうちはその習慣に従って風呂に入っていました。アジト1階にはそのための、大量にお湯を沸かせる窯のようなものが設置されていて、今でも稼働しています。しかし自分の部屋で風呂に入るよりも、地下に作られた大浴場に入るほうが圧倒的に楽だということにそのうちメギドたちは気付いていきました。もともと騎士団が時間を惜しんで次々と身体を洗えるように作られた広いスペースです。よほど混みあってなければ広々としたところで身体を洗い、のんびりとお湯に浸かり（1階の窯のさらに大型のものが設置されています）、いちいちお湯を運ぶ手間も後始末も（掃除などは当番で回ってきますが）いらないのです。ただ、それでも部屋で1人こっそり風呂に入ることを好む者もそれなりにいます。

食堂については、普段はそこまで一度に全員が入る必要がないため、1階にある大型の調理場からすぐ隣に作られた、本来はできあがった料理を運ぶ前に置いておくための大部屋を食堂として使用しています。全員が入るような食事会や会議や催しなどは、その大部屋の向かいにある多目的ホールを使用します。ここは砦だったころから騎士団の腹を一気に満たせるだけの料理を提供する場所でもあったため、アジトのメギドたち全員が集まるだけの十分なスペースが確保されています。全員が入る必要のない平時では、そこはただの広い部屋として解放されています。

これまでアジトでは「メギドの日（軍団の旗揚げ記念日）」、「記念日」などを祝ってきましたが、それ以外にも軍団として運営上必要と思われる集会が定期的に開かれています。

軍団のメギドたちが顔を見せ合うための「大会食」、軍団の活動方針を説明したり情報を共有したりするための「アジト会議」などです。また組織としてはこれまでの活動報告も全員に周知しなければならず、「戦果（収支）報告会」も行われています。これは1つの大きな作戦が終わった際に行われることが多いため、続けて打ち上げパーティのようなことも行われています。これらの催しは軍団に所属するメギド全員が事前に連絡を受け、基本的には全員参加という形になっています。（実際には様々な事情により参加していないメギドもいます）

そこまで大きなイベントではなくとも、メギドたちはお祭り好きなので、不定期に小さな集まりのようなものが次々と考え出されては、既に実行されています。

・青空演奏会
もともとは、楽器を使うメギドたちがアジトの中庭を利用して練習していただけのものでした。そこに、アジトでたむろしているメギドたちがなんとなく聞きに集まってくるので、演奏者も期待に応えてちゃんと一曲一曲演奏したのです。そのうち、楽器を持ったメギドが中庭に入るだけで「お、始まる」という雰囲気になりメギドたちがまばらに集まってくるという流れができ、いつの間にか演目のないフリー演奏会のようなものになってしまいました。そのせいか、最近は真面目に練習したい場合はアジトではなく王都のどこかのスペースを借りるといった本末転倒現象が起こっているようです。

・いいもの交換会
セーレが主催する、不要のお宝があったら交換しようと持ち掛ける会です。要するにただのお宝自慢なので、参加者がそもそも少ない、交換もあまり成立しないようなひっそりとした集まりでした。それを嗅ぎつけたアガレスやバフォメットが乗り込んで珍しい工芸品や特産品を売るようになってからは、ネルガルが唯一無二の失敗作を売り、シャックスが拾ってきた珍しいキノコを売り、マルチネが新鮮な牛乳を売り、アイムとフルフルが屋台料理のようなものを売り始めてもはや交換会というよりフリーマーケットの様相を示すようになりました。それを見たマモンが思わず「だったらアジトで顔見知りのメギド相手にやるよりどこかの街でやるほうが儲かるんじゃない？」と指摘したところ、それ以来、アジトでいいもの交換会は開かれなくなってしまいました。ただ、ひょっとすると、どこかの街で、今も…

・猫の友の会
時々、グリマルキンが野良猫をたくさん連れて現れて（ポータルではなくわざわざ正門から入ってきます）、なにか食事を用意しろと要求します。猫たちは中庭で食事をしたり寝転がってまったりしています。アジトの面々も参加してもいいらしい（アイムなど一部のメギドは喜んで参加しています）ので、一応ソロモンからはアジトのイベントとして認識されています。

また、軍団のメギドたちの間では、一般的なヴィータも交えて大掛かりなアジトパーティ（アジパ）も開いてみたいと、度々話には上るのですが、一般のヴィータを呼ぶためには馬車を用意して送迎しなければならないため敷居が高く、いまだに実現していません。

チャトランガは比較的単純なルールで「戦争」のニュアンスも含んでいる事から一時期はアジトに広まり、一部のメギド達の中で「マイ駒」を持つ事が流行りました。

戦争を模したゲームにおいて「駒」はいわば「兵隊」であり、自分だけの「軍団」を持つ事はメギド達にとって憧れであったのかもしれません。

しかし、肝心の遊戯盤は誰も持とうとしませんでした。チャトランガを「戦争」とするなら「遊戯版」は「戦場」です。

「戦場」を所有するという事は即ち「自分の領地」を持つ事であり、そこで「自分の駒＝自分の軍団」と「相手の駒＝敵の軍団」が戦うという事は「自分の領地が攻め込まれている」事に他なりません。それはメギド達にとって「なんか嫌」だったのです。

なので「チャトランガー」のメギド達は、だったら「人の盤で遊びたい」と考え、自分だけの盤を持とうとはしなかったのです。なので机の上で適当に遊んだり、紙に盤の模様を書いてプレイしたりしていました。

それを見かねたバラムがチャトランガの盤をソロモンにねだり、バラムが盤の所有者となったのです。これにはアジトのチャトランガー達も歓喜し、代わる代わるに「バラムの領地」に攻め込みました。あまりに盤が酷使されたため消耗し、バラムは盤をもうひとつ贈り物として所望した程です。

善意で貸した自分の持ち物をあえなくボロボロにされたバラムは「もうひとつの盤は絶対に誰にも貸さねえ」と貸し出しを拒否するようになりました。

それからしばらくは皆、もはや共用と化した古い方のバラムの盤（ボロボロすぎて皆には「棄戦圏」と呼ばれていました）でチャトランガをプレイしていたのですが、豪華で綺麗な盤を体験してしまったメギド達は何となく、ボロボロの盤で遊ぶ事に盛り上がらず、チャトランガブームは収束を迎えたのです（「マイ駒」を持つ事は今でも流行っていますが）。

その後は、たまに誰かが共用の盤で暇つぶし程度に遊ぶ程度になっています。

最近ではアルマロスがこのチャトランガを気に入り、バラムに次いで２人目の「盤所有者」となりましたが、アルマロスはバラムの件を耳にしていたため「盤は絶対に他人に貸さない」事に決めているようです。

食事の材料が余った際にアミーやウァラクがドーナッツ、ケーキ、クッキーなどを作る事があり、定番のおやつになっています。

他にも、買い出しの際に洋菓子店で購入されたものをみんなで分けたりもするようです（アマゼロトはお菓子を買ってきても誰に分けてあげませんが）。

果物などもおやつとして食べられる事がありますが、フォレストベリーや贖罪のリンゴなど、アジトに常備されているものは酸味が強いものが多く、こちらはあまり人気がないようです。

また自分では料理ができないが甘味を求めるメギドが夜中にこっそり台所に忍び込み魔糖キューブをかじったりしています。これはバレると物資管理をしているフォカロルや、台所の番人であるニスロクにめちゃくちゃ怒られるので、そのスリルも一緒に味わっているようです。

甘いおやつ以外では、みなの健康を考えハックが余りがちなぷるぷる豆を油で揚げ塩をまぶしたものをおやつに提案しましたが、まるで人気が出ませんでした。

一部の酒飲みメギドがたまにお酒のアテにしている程度です。

犬猫のようなメギドならアジトに何名かいますが、純粋な犬や猫のような動物はいません。

メギドたちの中には普段から動物じみたものを連れて歩く者もいますが（オリアスの連れているサン＆ムーンなど）、連れてる当人にとっては自分の一部、あるいは相棒のようなものなので、それらは一応仲間としてアジトにいる動物からは除外します。

それ以外に勝手に住み着いているという意味でなら、いくつかの動物がいます。アジトがメギド７２に譲渡された当初は空きスペースが膨大にあったため、勝手に住み着いている野生動物がたくさんいたのです。しかし現在ではアジトにメギドの数が増え、さらにイヌーンやキバの女王たちのように目線が近い者も出入りするようになったため、野生動物にとってはかなり住みにくくなったようです。最初のころソロモンたちが目にした多くの動物たちは、アジトから自然と姿を消していきました。どうやらアジトの外にある山の中に住処を変えたようなのですが、ごく一部の（根性ある）動物は、今でもアジトのどこかに住み着いて、ときどき姿を現わしてソロモンやメギドたちを喜ばせています。ただし餌付けはウァプラによって厳しく禁止されているため、直接的な交流はほとんどありません。以下はそうしたアジトの動物の一例です。

・大カラスのマックロウ
アジトのどこか上のほうに住み着いている身体の大きなカラスです。かつてはアジトを根城にしていたカラスたちのリーダーだったようで、ソロモンたちがアジトを使い始めた当初はテリトリーを荒らす侵入者と認識して、正門から外に出ると襲ってきました。とはいえカラスがメギドたちに敵うはずもなく、深入りすると逆に攻撃される（メギド側からは脅し程度でしたが）と学んでからは、次第にアジトから離れていきました。しかし身体の大きなカラスのリーダーだけは今なおアジトの高いところに留まり、存在感を示しています。山に住処を変えたかつての仲間のために、メギドたちを監視しているのかもしれません。こちらを攻撃することはなくなりましたが、かと言って慣れるでもなく、ときどき外からアジトの中をじっと眺めているのを何人かのメギドが目撃しています。

・2匹の野兎、デルナ＆モドレ
中庭のどこかにねぐらがあると推測されますが、まだ見つかっていません。さらにそれを探すことはウァプラによって厳しく禁じられています。警戒心の強い二匹の野兎で、番なのか兄弟なのかはわかっていません。アジトは砦なので中庭は四方を囲まれているはずですが、どこかに野兎にとって都合のいい抜け穴のルートがあり、アジトの外と中庭を行き来しているようです。外敵が外にいることを考えると、中庭はいいねぐらなのかもしれません。痩せた茶色の野兎（デルナ）が、中庭の真ん中にじっと立って周囲を警戒しているところがたまに目撃されます。また、アジトの外や台所の外で、耳に切れ目がある野兎（モドレ）が全力で逃げていくところがたまに目撃されます。

・名もなきネズミども
メギドたちが大勢で生活している以上、いないほうがおかしい存在です。多少は煩わしいですが、メギドの力を使った大掛かりな駆除が何度か実施されているため、そう数は多くないようです。逆にアジトが山の中にある施設であることを考えると、異常なくらい姿を見ないとも言えます。

アジトに動物を飼いたいという要望は一部のメギドたちからもときどき出るようですが、現在までのところ実現には至っていません。

ソロモンの目には、フォトンは色のついた光に見えます。

形はぼんやりしていますが、一番近いのが三日月や四角の形状です。ソロモンはそうした色や形から、フォトンの性質を見分けています。ただはっきりした物質のように見えるわけではないので、フォトンが濃い場所でわかりにくくなる場合があるかもしれません。

最近でもやはり小食のようです。勧められれば都度食べますが、量は食べないのでつまむ程度です。

戦闘などで動き回る際は、腹が膨れていると鈍くなるため、戦闘の中心になることが多いソロモンはこの生活の中で自然と小食になっていったようです。その分、回数を3食より多くして小まめに食べようとはしていますが、得てして戦闘は予想外に起こるものなので、相変わらずソロモンは走り回りながら小腹が空いたとボヤいています。

好きな食べ物や嫌いな食べ物については、好き嫌いをあまり主張するタイプではないのですが（これ美味しい！みたいなことはよく言います）、極度に辛いもの、または苦い味のものは苦手なようです。肉は近くに好き好き言う者がいるせいか、つられて食べたがる光景がよく見られます。また、手軽に食べられて満足感があるからか、果物類にもよく手が出ているようです。

裁縫はアミーに教わりチャレンジしましたが、あまりうまくできなかったようです。

衣服の類いはやはり縫製がしっかりしていないと実用性に欠けるので、本職のアミーに任せるのが安心という事で、あまり手を出さないようになりました。

おやつのような贈り物を作る時は、コルソンやキマリス、セーレなどと一緒になって作っている事が多いですが、その時に用いるレシピはフルフルが考案したものを用いています。ニスロクが提示してくるレシピは分量や温度まで厳密すぎて、素人のソロモンにはとても作れないのです。

また、贈り物の中には科学的な知識や技術を要するものもあり、そうしたものを作る際にはアスタロトやサタナキアが立ち会って安全性の確認をしています。

そのように様々な贈り物をする過程で、ソロモンは広く浅く多くの知識をいろいろなメギドから教わっているのですが、どれかひとつという突出した知識や技術を身に付けてはいません。その気があれば何かを極める事はできるでしょうが、専門家のメギド達への信頼から、自分はそこまでする必要はないと考えているのです。

また、ソロモンがメギド達から教わった知識の中で意外性のあるものをひとつ挙げると、スコルベノトから教わった「リボンのカワイイ結び方」です。

冒険を始めたての頃は、髪が伸びてきたソロモンを見かねてバルバトスが切ってくれていました。

アジトに入り、仲間が増えてからは主にアリトンとサラのどちらかが散髪を担当してくれています。

ちなみに、散髪はアジト内で密かに行われるのが常です。

以前、ソロモンが散髪されている様子を見たジズが「自分もやりたい」と言い出し、ソロモンが快く了承したところ、前髪をまっすぐに切られてしまうという事件がありました。また、インプは人の散髪を見るとイタズラで失敗させてやろうと躍起になり、散髪するメギドがアリトンの場合は大丈夫なのですが、サラなどはインプのイタズラに驚いてソロモンの襟足をやはりまっすぐに切ってしまった事があります。そうしたトラブルを避けるため、散髪の際はそれとなくこっそりとアリトンやサラに伝え（あるいは逆に２人からソロモンに打診する時もありますが）、誰も見ていない事を確認した上でソロモンの部屋で秘密裏に行われるようになったのです。

自然と仲良くなった2人なので、

特に友情が深まったような事件というのはありません。

ただソロモンにとって印象深い事件はいくつかあり、その1つに彼が気になっている相手をツルムガに知られてしまったことがあります。ツルムガは張り切って、応援するつもりで余計なおせっかいを焼いて、そのせいでソロモンの気持ちを相手に知られた上、丁寧に断られてしまいました。

ソロモンは当然落ち込みましたが、ツルムガからそれを慰められた際には、かなり怒りが沸いたようです。

追放メギドは基本的に罪を犯した者ですので、

他の者にはあまり好意的な感情を抱かれていない場合が多いです。追放メギド達が犯したとされる「罪」がでっち上げであると考え、彼らを現在でも慕っているという者も中にはいるかもしれませんが、それは即ち、マグナ・レギオの決定を否定する事でもあります。なので大っぴらに追放メギドをかばうような発言はしたくともできないでしょう。

逆に追放メギドでなければ、そのメギドを密かに慕っていたというメギドがいてもおかしくはありません。

メギドにとって幻獣は使い捨ての駒のような戦力ですので、

特定の個体をパートナーのように連れ回す事は、そこまで一般的ではありません。自分の能力を活かせるような種や個体であれば、その限りではないでしょうが、その場合でも我々における「ペット」のような感覚とは少し違い、便利な道具のように扱っている事がほとんどです。レラジェがピーターという個体を相棒のように連れ回すのは、彼女がヴィータとしての感覚を持ち合わせ「ペット」という概念を理解しているからだと言えます。

また、一部のメギドはソロモンによる召喚の際に「幻獣のような何か」が付属している事があります。正体については不明な部分も多いですが、こうした「幻獣のような何か」は、そのメギドにとって有用な能力を持っている事が多く、自然とそのメギド専用の支援役のような立場に収まる事が多いようです。

リジェネレイトは体を構成し直すことで成立します（通常の召喚とは違って相当大掛かりです）。

意識してできることではないですが、理屈でいえば古傷を消すことだってできます。

この現象をたとえるなら、ブロックトイで組み立てられた複雑な模型を一度バラバラに分解して、もう一度組み上げるようなものです。そうした場合、材料がすべて同じだったからといって元の形と全く同じになっているかどうかはわかりません。全く同じ形にするためには「設計図」が必要なのです。ソロモンは指輪を使って、召喚対象の身体を分解し、再構成させることができます。先述した通り、これがリジェネレイトという大掛かりな現象です。この際、「設計図」となるのは、召喚対象の「魂」そのものなのです。もしも召喚対象が自身の魂を少し違ったものと認識してしまったらどうなるでしょう？特に、魂に衝撃を受けるほどの出来事があった直後や、死にかけて魂そのものが消えかけてしまった状態からの召喚だったとしたら…？

リジェネレイト後にメギドたちの姿がちょっと変わってしまうのは、再構成の際に参照した設計図、つまり魂にほんのちょっと変化があったからなのです。

ちなみに魂を設計図として見た場合の情報は、召喚契約の一環として指輪内に保持されています。だからソロモンは、リジェネレイト前のメギドを意識して召喚することもできるのです。（ただし、それは死んだ存在だとして召喚対象側に拒否されて実現しない場合もあります）

そこまでしなくても、裸になったヴィータとしてならほぼ違いはないので、外見だけなら着替えるだけで容易にリジェネ前も後も再現は出来ますが…

デビマルのときは、マルコシアスがちょっとアレだったので、マルコシアスの魂がマルコシアスのものであっても投影される意識まではマルコシアスのままではありませんでした。（本人もそのときのことを覚えてないと主張しています）

なにか…そう、ガーッとなってウキーッとなった結果わけがわからなくなって自分ではない野生の自分が、意識の底に住む獣が、ひょっこり出てきてしまったのだと思います。寝不足のときや飲み過ぎたときにはよくあることです。しかし設計図がそのメギドの魂である以上、姿がどれだけ変わっても決して別人になったわけではありません。デビマルも、あれはあれで、やっぱりどこかマルコシアスなのです。たとえ記憶はなくても、本性は獣だと日頃本人も言っていますから。

たとえば視点を変えた質問として、ソロモンに別の生物になるとしたら雄雌どっちがいい？と聞いても

「え！？」とびっくりして答えに窮してしまうでしょう。まずその別の生物がよくわからないものだからです。無難な答えとしては自分と同じ性別、雄かな…と答えるかもしれませんが、この別の生物がもしチョウチンアンコウだったとしたら、質問自体が完全なトラップです。ソロモンがあまりに可哀想です。しかしチョウチンアンコウの雄が何故ここで例として挙がるのか、これを読んでいる皆さんにもよくわからないかもしれません。つまり一般的なメギドにとってヴィータは、それくらい（形としては知っていても）よくわからない別の生物なのです。

ヴィータ体を取るか取らないかという選択は極めて重大ですが、男女のどちらがいいか…についてはあまり真剣に考慮せず、ノリや直感で決めています。そもそもメギドからすればヴィータ体になる時点で大幅な性能ダウンを強いられているわけで、ヴィータ体の男女にその性能差に匹敵するほどの差異でもなければ、元は大雑把なメギドたちのこと、大して違いはないと考えます。つまり単純に、男のほうが身体能力が有利になるというような発想が出てこないのだと思います。

中にはマモンのように、女性が潜在的に持つしなやかさや麗しさ、そこに由来する文化などが気に入って、積極的に女性体を推奨するメギドもいます。そうした場合はある程度ヴィータのことを理解した上で、打算ではなく個人的な趣味として選択しています。ただしそこまで意図を持って性別を選択するメギドは、メギドラルの中では極めて少数派です。

コーヒーが流通するようになったのは紅茶に比べると最近の事で、

贈り物にコーヒーを求めるメギドが多いのはおそらく「新しいものに触れてみたい」という好奇心から来るものでしょう。コーヒーに限らず、「新しい贈り物」が人に送られているのを見ると、自分も欲しいと言い出すメギドは多いのです。

実際の人気でいえば飲みやすい紅茶の方が大勢には人気で、コーヒーは独特の苦みに慣れないメギドがまだ多いようです。

その気になればメギドたちはいろいろなもの（未来的な兵器まで）を作れると思います。

ただ、どんなに技術があっても、こういうものが必要だという具体性や、こうすれば可能だという発想がなければモノは生み出されません。たとえば、大量印刷できる機械が既にヴァイガルドでは生み出されています。しかしメギドラルにそんなものはありません。本のようなものにメギドラルは価値を認めていないので必要性がなく、それが生まれる気配すらないのです。その延長で、メギドラルに核兵器や戦車や戦闘機が必要かというと、今のところ必要ありません。だからそうしたものはメギドラルでは生み出されないのです。

また、メギドラルの技術はそれを実現させた「個」に依存しているため、失われたり復活したりといった極端な状況の変化があります。罰巣華歩にしても、それを必要として生み出したリヴァイアサンや作り方を伝授されたウェパルがいなくなれば消えてしまう技術です。一方で、ヴァイガルドの技術はある程度共有されて安定しているため、一度前進した文明レベルは維持されたまま滅多に後進しません。

ただし同じような成果物を比較した場合、その完成度にどれくらいの差ができるかという考えならば、今はまだ圧倒的にメギドラルのほうが上です。たとえば自動車を発明するとして、ヴァイガルドではガソリンでゆっくり動く車ができれば十分すごいですが、メギドラルなら車輪をすっ飛ばしていきなりエアバイクのようなものが生み出されるかもしれません。そのほうが速いし、空飛ぶほうが便利だからです。

メギドの持つ技術でなにが生み出されるか、それはメギドたちのイマジネーション次第、必要を生み出す状況次第なのです。

もちろん使えます。

ただ、飴を舐めきらないとフォトンを取り込めないので、ちょっと時間がかかると思います。急な戦闘、絶体絶命のピンチの際には、ちゃんとした携帯フォトンかソロモン王の支援のほうが確実です。

ウコバクの炎は正確には「髪の毛が燃えている」のではなく、

「髪先に常に（メギドの力の暴走による）炎が灯っている」という状態です。

「冷炎」という、炎でありながら低温であるという現象がありますが、ウコバクの炎はある程度までは自身の意思で温度をコントロールできるため、その「冷炎」のように低温（およそ40℃程度まで）に抑える事が可能です。ただしウコバクの精神状態も影響し、本人が興奮状態にあったり混乱状態にあったりすると温度調節がうまく行かず、周囲のものを燃やしたりしてしまう事もあるようです。

とはいえ服や布団など、布類の発火点はおよそ500℃程度とされますので、ウコバクが通常の状態ならば間違っても燃え移る事はありません（ウコバクがその気になればできるでしょうが）。

また、ウコバクが眠っていた後の布団は他のメギドのものよりも温もっているため、ウコバクの留守中に勝手にグリマルキンが潜り込んで昼寝をしている事があります。

オロバスはロジカルな思考に寄っているため、あまり芸術のような感性を刺激する類の情報にはピンときません。

音楽を音楽とは認識しますが、いい悪いの判断はつかないのです。快や不快で判断しないため、演奏者がヘタなのか意図的に音をズラしているのかもよくわからないと思います。また絵についても、絵に描かれた情報のほう（人物や風景そのもの）を評価しがちなため、表現手段としての絵についてはあまり感想はなさそうです。

本についてはそれなりに読み込んでいるようですが、オロバスが欲しているのは情報なので、嘘しか書かれていないフィクションの物語までそのまま本当の出来事だと受け取ってしまっているようです。

今後オロバスが芸術に目覚めることは…たぶんないような気がします。魂がどんな刺激を受けるか次第なので、あまり先のことは断言はできませんが。

芸術ではないですが、ダゴンは食べるだけだったのが自分で作るという方面にも目覚めたメギドです。

それ以外で、自分を表現というほどなにかにめり込むことは見られません。そもそも素養があるなら、既にメギドラルなどでとっくになにかやらかしています。ただ、趣味とか試してみた程度のことなら、アジトの日常の中でもいろいろあるかもしれません。そして、ほんの少し試した程度のことが意外と心の奥深くに残っていて、なにかの切っ掛けで花開く――たとえばリジェネレイトによって、これまで見られなかった新たな表現が表に出てくることはあるかもしれません。

メギドたちが歌が好きなのは、彼らの多くは自分の「声」が好きだからです。自分の声が聞きたいから、歌うのです。

物語にはあまり関係のないことですが、サラはとある貴族に関係ある娘です。（その貴族の血を引いているわけではありません）

昔、サラの祖母にあたる女性が、ある貴族の当主に見染められて求婚されました。しかしそのとき既に祖母はサラの母を生んでおり、サラの祖父に当たる男性は亡くなっていました。貴族の当主はそれを承知の上で、結婚してほしいと言ってきたのです。悩んだ末、祖母は求婚を受け入れました。

それから幸せな年月が過ぎ、サラの母は貴族の家を出て（もともと養子にはなっていませんでした）結婚し、サラを生みました。しかしサラがある程度育ったころ、両親は共に亡くなってしまったのです。サラは世間的には1人で暮らしていてもおかしくない年齢でしたが、困ったことに両親に大事にされ過ぎたのか、極度の世間知らずでかつ悪意に対してまるで抵抗力のない無垢な娘に育っていたのです。

それを知ったサラの祖母は、個人的な援助を申し出ました。サラ自身は特に疑問に思っていなかったのですが、苦労した祖母はサラにはとても1人で暮らしていく力などないことを見抜いたのです。祖母の思惑としては、家事手伝いとして家のことをこなし、1人で暮らしながら世間に触れることで、じきに良い結婚相手に恵まれるだろうという算段でした。さすがに当主も変わっている今の貴族の家に、事情があろうとサラを迎え入れるのは難しいので、祖母は自分に自由になる分のお金を援助することでサラを助けることにしたのです。

こうしてサラは、家事手伝いを職業とし、援助されたお金から家賃を払って1人暮らしをしながらのんびりほわわんと暮らしているのです。知り合いや町の人に頼まれて、家事代行をするうちに多少の賃金が手に入り、家庭的なこともより上手になりました。そのまま暮らしていれば、経緯は特殊でも平凡なヴィータの女性として一生を終えたかもしれません。ただ、現在のサラは…

メギド７２のアジトに出入りして、家事や戦闘を手伝いながら、のんびりほわわんと生きているのです。彼女の将来がどうなるのかは、まだ誰にもわかりません。

ちなみに、家事の代行はどこにでもある一般的な仕事です。ただし、相手の都合によって仕事が発生したりしなかったりする不定期労働（特に都市部では仕事がないことのほうが多い）の上に賃金はかなり低いものなので、この仕事だけで1人暮らしを続けるのは相当厳しいと思われます。サラは祖母の援助があるので、それなりに余裕のある生活を楽しんでいます。

「カワイイカルテット」が結成された、という決定的な瞬間は特にありません。

そもそもはオリエンスが買い物の際に他のメギドを付き合わせる事が多く、特に自分と趣味が合うメギドをよく誘う傾向にあるため、次第に同じようなメンバーを選びがちになった、というところが始まりです。

スコルベノト、マルバス、ベバルはそれぞれ趣味も異なり独自のこだわりも強いのですが、オリエンスはかなりの広範囲で「カワイイ」を許容できるメギドなため、それぞれとうまくやれているようです。とはいえ今ではそれぞれのメンバーがオリエンス抜きでも買い物に行ったりはしています（オリエンス抜きで買い物に行くとオリエンスが拗ねるのであまり頻繁ではありませんが）。

最近のもっぱらの活動は、今ひとつ地味な既製品をみんなで意見を出し合ってかわいくする事のようです。