【２周年】メギド質問箱

ソロモンの黒い爪は、自分で樹液や花から作った染料のようなものを塗っています。

今は滅んで久しい辺境の古い村では、よそから来て住み着いた者を区別するため爪を黒く塗らせていたそうで、ソロモンはそれを伝え聞いて真似したようです。

ただしグロル村が排他的だったということではなく、あくまでソロモンがかっこいいと思ってやっていることです。

ソロモン自身は今でもグロル村での習慣やスタイルを変えたがらないので、マメに塗り直しています。

人口の少ない村の若者は、貴重な労働力です。各々が生活のために働けばいいというものではなく、村という共同体を維持するための活動を多く要求されます。

家や道路の修復、その材料の調達、農作物の収穫、畑の手入れ、狩りの手伝い、倉庫の貯蔵物を運ぶ、村の公共施設の整備、道路の清掃、立ち寄ったキャラバンへの便宜、近隣の村々へのお使い、などといった仕事です。

グロル村の若者たちは共同体への帰属意識が強く、外の街へと勉強に出ていく者も少なかったので、ソロモンはこうした面倒な労働も同世代の仲間たちとわいわい楽しくやっていました。

ただソロモンは若者の中でもフォトンが視えるという彼だけの能力があり、そのことを生かした仕事も任されていたのです。狩場を探す、畑の様子を見る、新たな家を建てたり開墾する場所を探す、というようなことです。

そうした場合の仕事では逆に、ソロモンは単独行動を好みました（深い意味があったわけではありません、単に大勢いると気が散ったり場のフォトンが乱されるとかその程度の理由です）。

このソロモンの貢献は、村では彼の知らないところで高く評価されており、彼を自警団のような危険な仕事や、木材や石材を運ぶような重労働から遠ざける結果となりました。

そのことが結果的に、グロル村滅亡時の状況に繋がったのです。

尚、物語直前の彼はまだ大きな屋敷（ある程度大きくなった子供は寄宿舎のようなそこで共同生活を送り、社会性を学びます）から出て１人暮らしを始めたばかりだったので、これという生計を立てるような仕事を持っていませんでした。

村の共同作業を手伝い、報酬に食材を少しわけてもらって、足りない分は自給する程度の暮らしで十分だったのです。

その１人暮らしも、仲の良い仲間たちと食材を融通し合ったり、遠くの村に出稼ぎに行って小遣いを手に入れたり、村の若者集団で近くに釣りに行ったりと楽しくやっていました。

時には女の子からアプローチを受けて真剣に悩んだり、意中の女性が結婚してしまって仲間に慰めてもらったり、狩場を巡って隣の村と揉めたのを両村の若者同士で協力して仲裁したりしていました。

また、手先の器用さを生かしてアクセサリーを作り、みんなに褒められたのをいいことに、その気になって大量に作った装飾品をキャラバンに高値で売りつけようとして大人に叱られたりと、彼の生活は物語本編とは別の方面でとても波乱に満ちた、楽しいものだったのです。

ソロモン自身はあまり強くありません。バラムを相手にしたときは、さすがにバラムがメギドの力を抑えてレベルを合わせていました。

騎士団に所属するヴィータと比べたら、ソロモンは入団試験の序盤で落ちるクチです。まず武器の扱いがまるで経験がない上にセンスもありません。

体力はあるほうですが、逆に膂力（りょりょく）、動体視力、反射神経、敏捷性など秀でた特徴もないので、彼自身の戦闘というスタイルを作りにくいのです。

仲間になったメギドたちは、戦闘に秀でた者ほどそのことを見抜くので、ソロモンを鍛え上げて前線に出そうとは考えません。

それより自分たちが戦ったほうが早いし確実性もある、ソロモンはフォトン供給と戦闘指揮（これには非凡な才能があるとメギドたちも認めています）に専念させたほうが合理的であると判断しているのです。

しかしソロモンの側には直接戦闘への憧れがあるようで、密かに自分も武器を取って同じくらい戦えたら…と思ったりするようです。あまり鍛錬はしていませんが…

普段のソロモンは物語で語られているように、世界各地で戦っています。

そのため宿屋に泊まったり、小さな村で個人の家に泊めてもらったり、未踏地で野宿したりと決まった生活パターンはありません。

行動の落差が激しい生活なので、逆にアジトでなにもすることがないようなヒマな一日というのも時々あります。

そんなときでもソロモンの朝は早く、なるべくみんなと共に朝食を取ります。その後、模擬戦（地下の鏡の間）に連れ出されたり、リーダー格の面々と今後の作戦や課題を話し合ったりします。

昼食の後はみんなと雑談をしたり、遊んだりしてリラックスしています。

午後はアジトから出て（主に王都を）ブラブラすることも多いですが、その際いろいろな顔ぶれのメギドたちと行動を共にします。そんなときも外食は避け、夕食もなるべくアジトでみんなと同じものを食べます。

そして夜は身体を洗って、ポータルの警備番や酒を飲んで騒いでる大人たちに一声かけてから寝ます。

ソロモンとメギドたちの付き合い方は、軍団にいるメギドの数だけいろいろあります。

事件がなにもない時は、メギドたちにとっても軍団に縛られない休日となるため、特によくいっしょにいるメンツはソロモンからは離れて行動することが多いです。

逆に戦闘以外のときにもっとソロモンに構ってほしいメギドたちは、我先にとソロモンの下へ駆けつけてきます。ソロモンがヒマな場合は、その流れで雑談をしたり遊んだりすることが多いです。

遊ぶときは、なるべくみんなで遊べるようなカードゲームやビリヤードのようなゲームに興じますが、時々メフィストたちやベリト相手にムキになってしまい（ほぼ向こうからの挑発なのですが）、他のメギドたちをそっちのけで夜遅くまで勝負にのめり込むことがあります。

サタナイルたち演奏組がアジトにいるときは音楽を聞かせてもらうこともありますが、日ごろの戦闘の疲れがあるのか、高頻度で寝落ちしてしまいます（そういう場合でも、サタナイルたちは最後まで演奏してくれます）。

街に遊びに出るときは、ジズやベレト、ナベリウスなどがついてきたがります。ティアマトはなぜか行く先々で偶然会うことが多いようです。

外で遊ぶ気分でもないときは、フラリと図書室に入って、アンドロマリウスやフォラスからいろいろな話を聞いたり本をパラパラと読み始めたりします。

本に夢中になっていると、いつの間にかアムドゥスキアスが近くに座っているので、本の感想を述べたり、逆に感想を聞いたり（必ずと言っていいほどアムドゥスキアスはその本を既に読んでいるのです）して過ごします。

またソロモンのほうでも、そういつもメギドたちと一緒にいるばかりではなく、１人になりたいときもあります。そんなときは、いつもソロモンを見ているカスピエルが気を利かせてうまく人を避けてくれます。

ソロモンは自室にこもってのんびりしたり、贈り物を作り始めたり、窓から見える景色をぼんやり眺めたりして過ごします。そういうときのソロモンは、不思議と飽きることなくずっと部屋にこもり続けます。

ただ、ソロモンも平常時とはいえ決してヒマなときばかりではなく、たとえばシバの女王に呼ばれて情報交換や今後のことを相談したり、贈り物の手配をしたり、亡命メギドの生活を助けるため骨を折ったりしています。

ソロモンは軍団のリーダーであり、メギドたちのヴァイガルド社会への調整役でもあるのです。ネルガルのような亡命メギドたちは社会常識を知らないので、騒ぎを起こすこともあります。

それを未然に防ぐためにはヴァイガルドの社会経験を積むことが重要なので、ソロモンはあちこちのつてから仕事を請け負っては、メギドたちにお願いしています。

その収入で亡命メギドたちもヴァイガルドでの生活が向上し、居場所を見つけられるのです。

冒険の連続と、旅から旅への生活は彼に多くのものを与えてきました。

以前はできなかった指輪の操作もシバの女王が驚くレベルで上達し、工夫を凝らした使い方を編み出しています。

そして俯瞰でモノごとを見ることの重要さも学びました。なにが正しく、なにが悪いのか。なにができて、なにができないのか。なにが必要とされ、自分は今なにをすべきなのか。

最良の結果を得るため、惜しみなく頭を働かせることは、これまでの冒険で彼が得て、得意になったことの１つです。

もちろん仲間と出会ったことでもたらされた、多くのスキルもあります。ちょっとした裁縫や料理、様々な道具の手入れから買い出しのコツまで。

仲間をいかに尊重しつつ運用するか、信頼に応えるか、リーダーシップも。

しかしなんといっても彼が一番得意になったのは、「勝算を得ること」に他なりません。

贈り物は厳密にはただのプレゼントではなく、軍団に参加してくれているメギドに対するメギドラル流の報酬の一種です。

そのためソロモンの私財ではなく、軍団の財産から経費や素材が提供されます。

このような報酬は貨幣制度のないメギドラルの習慣からくるもので、給料というより感謝の気持ち、信頼を形にしたもの、強さを称える、さらなる強さを望む、今後の活躍への期待といった複雑な意味を持ちます。

また、それらが軍団長や王、つまり組織のトップから贈られることが前提となるため、可能なものはソロモンが手作りするようにしています（工程の一部をプロにお願いしたり、仲間に手伝ってもらうことも多いですが）。

贈り物はメギドたちが欲しがるものをソロモンがそれとなくリサーチして用意しますが、中にはよくわからないものもあるため、毎回苦労しています。

たとえばエンブリオというものを、当初ソロモンは見たことも聞いたこともなく、それを手に入れてから初めてメギドが喜ぶものだ、と理解しました。

こうした贈り物は、いかにメギドたちが喜ぶものを、支配している「上」が把握できているか試されている面もあるため、あえて難易度が高いものが要求されることもあります。

反面、ずいぶん素朴なものを欲しがっていると感じた場合、ひょっとすると用意するソロモンの手間を考えた、メギド側からの気持ちの表れなのかもしれません。

またそうした象徴的なものではなく、ただ単に欲しいから欲しいというような物もあります。

贈り物は、ソロモンとメギドたちの、言葉ではない大事なコミュニケーションの一種といえるのです。

贈り物に統一感がなく、様々なものを欲しがっているように見えるのも、メギドたちの単純な趣味や嗜好の品というだけではなく、それを察してもらって受け取るまでの経緯そのものを楽しんでいる、彼らなりの（真剣な）遊びだからなのです。

専門性の高い贈り物は、キャラバン経由で特定の村や町の職人に材料を渡して作成してもらっています。

日本で言う伝統工芸品のような物を売りにした村や町がヴァイガルドには点在しており、そこに作成を頼んでいるのです。

作成者や仲介のキャラバンに手間賃を払う必要があるので、作成にはゴルドを必要とします。

ソロモン自身が作成する時にも手間賃が発生していますが、これはジズやブエル、キマリスなどのお手伝いをしてくれたメギドたちにもちゃんと報酬をあげているからです。

食べ物は、フルフルやアイムの指南を受けつつソロモンが作る場合が多いです（指南料として経費がかかっています）。

極楽テラケーキや激辛灼熱鍋は、そもそも市販されるようなものでもないので、完全な手作りです。ただ最初からうまくは作れないので、何度か試食版が作られたことがありました。

極楽テラケーキ・試食版はソロモン自身悪くないと思い、おすそ分けをひと切れずつもらったメギドたちにも大好評でしたが、激辛灼熱鍋・試食版はソロモンには厳しすぎる辛さだったためのたうち回ってしまい、これを贈っていいものかどうかちょっと悩む結果となりました。

このように料理系のモノは、内容によってはソロモン自身が贈り物としてどうかと思っているため、実は渡すときに相当ドキドキしているようです。

ヴァイガルドにおいて刺青は古い歴史を持っています。古代のヴィータたちは、フォトンスポットを拠点に集落を作り発展していきました。

しかし普通の人にはフォトンが視えないので、その拠り所に呪術的なものを求めたのです。

村々はこぞって自分たちのフォトンスポットに目で見える「記号」を当てはめました。 この記号を刺青として身体に刻むことで、そのフォトンスポットへの帰属意識としたのです。

どこかで死んでも、魂は大地に還り、記号を目印に自分たちの生まれ出た場所へと戻ることができる、そう信じられていました。 そのためヴァイガルドの古代社会では誰もが刺青をして、自分がどこのフォトンスポットで生まれたか見てわかるよう主張したのです。

そして記号は次第に複雑化していき、意味も多彩なものになりましたが、それと比例するようにフォトンが視えない普通の人々は刺青をあまり入れなくなりました。

劇中のヴァイガルドのように、フォトンスポットが多く回復し豊かな土地に巨大な街が多く作られている時代では、刺青はほとんど見ないものとなったのです。

ただし、刺青がどういうものだったかはみんな大体知っているので、刺青を入れる者をある程度尊敬のまなざしで見てくれるし、それを期待してあえて刺青を入れる者もいます。

髪を染める文化についてはそれほど歴史的な背景があるわけではないのですが、技術としては普及していて、キャラバンから薬を買えば誰でも髪を染めることができます。

そのことに対するペナルティや偏見はほとんどありません。

ヴァイガルドではフォトンスポットの上に街が発展しているので、人々が住む地域というのは、小さくまとまって点在する傾向があります。

そのため、一般教養程度の教育に関しては、自治体ごとにまとめて面倒を見るようになっています。

たとえば小さな村などは、集会場に子供たちが集められて毎日決まった時間に勉強します。

より大きな街になるほど、教育のための人員や施設も大規模になるため、大きな街であるほど教育内容が高度化します。

そのため、ある程度の年齢の子供は大きな街にある学校に集まり、親元を離れて勉強するようになります。 それ以上の専門的な教育機関は、王都やそれに匹敵するような大きな街にしかありません。

ただし誰もが学者になれるわけでもないし、それほどの知識を必要とした仕事がそういくつもあるわけではないので、多くはそこを卒業後、今度は自分が子供たちに教える立場となるためヴァイガルド中に散っていきます。

またヴァイガルドでは、年齢別にグループを振りわけて１年ごとに進級させるというシステムがありません。学校の中では近い年齢の子供たちが雑多に混じって勉強しています。10才と15才が同じ内容を学ぶ光景もこの世界では普通です。

学べる内容は王都にある教育機関によって定められていて、その内容に応じて教育ランク（ただし学生たちは教育ランクと呼ばず、「学年」や「クラス」と呼んだりするようです）というグループが形成されています。

この教育ランクは、地方の小さな施設ほど低く、王都のような巨大都市の学校ほど高い傾向があります。この教育ランクは、試験の合格でのみ進級することが認められています。

そのため、上の教育ランクが自分の住む場所にない場合、親元を離れてそのランクのある街に住む、というライフスタイルが一般的なのです。

ただしこの世界では教育が義務ではないので、進級できなくなった教育ランクを最後に学校をやめて、その時点で自分にできるところから社会に参加するのが一般的です。

教育グループが年度別になってないとはいえ、やはり感覚的に教育ランクに馴染まない年齢というのもあるため、あまり１つの教育ランクに留まり続けると、学校に来られる資格を失ってしまいます。

低ランクの教育は、ある程度の教養があれば誰でも教えられるので無料ですが、高ランクの教育にはそれなりの費用が掛かるため、そうした面からも進級を諦める者もいます。

ヴァイガルドでこのように教育が発展しているのは、王都の教育機関に在籍する（滅多に姿を現さない）永久顧問ミカエル氏の尽力によるものです。

当たり前ですが、液体窒素や真空調理機を使うほどには進化はしていません。

しかし他の文化水準に比べれば、食材が豊富かつ長年平和が続いていたヴァイガルドの食文化の発展は、目覚ましいものといえます。

地方ではまだ原始的な料理をする人々も多いですが、低温調理、ドライエイジングなど、我々の概念でも比較的新しい技術を用いる料理人もわずかに存在します。

「贋金虫の抜け殻」についてですが、我々の世界にあるコチニール色素はカイガラムシから抽出され、食物を赤く染める用途などに用いられます。

同様に、贋金虫の抜け殻も、食材や素材を金に染める用途に用いられているのです。加えて言うと、味には何の影響もありません。

一般的な家庭にはトイレがあります。

石造りの大きくて古い街の場合、下水が作られていることが多いので、トイレも水洗式で溜めた水を一気に流して、家々から離れた汚物槽に溜める仕組みになっています。

ヴァイガルドは点在するフォトンスポットの上に集落が作られているため、俯瞰で見ると孤立した住居密集地がまばらに点在するような社会になっています。

そうした孤立した地域性の中では、突如流行した疫病で街がまるごと滅亡するようなことも起こり、ヴァイガルドにはよく起こる身近な災害の一つとなっています。

そのため衛生に気を使うという感覚は、ヴィータの社会に広く浸透しています。トイレは身近な衛生問題の１つなので、古くから工夫が重ねられてきました。

形状や材質は我々の知るものに極めて近いものが普及していますが、拭き紙は流さずにまとめてから燃やします。

汚物を畑に使う肥料として転用する場合もありますが、基本的にはフォトンスポットの恩恵を受けているので、肥料は儀式的な意味が強くなっています。

農業従事者の間では、肥料をどこから調達したかによって大地の恵みの恩恵の受け方に違いがある（そんなことはありませんが）とされて、活発な議論と実践が繰り返されています。

特にいいものを食べる裕福な者から出たものはいい恩恵を受けるとして、汚物槽に溜める前に直接受け取ろうと交渉に行く強者もいるようです。

幻獣の強さは種類によってかなり違うのと、同じ種類の幻獣でも亜種や交戦状況で強さが大きく違います。

ただし、幻獣で最弱の部類に相当するものでも、素手で戦闘経験のない一般ヴィータが倒せるような相手ではありません。

序盤に出てくるヘルハウンドでも、飢えた虎よりはるかに強いと思います。

ただし幻獣も死なないわけではありません。そういう意味では傷を負わせられる相手なら、ヴィータでも倒すことは不可能ではありません。

王都の騎士団が幻獣を退けているのは、彼らが１対１に固執せず、結束してかならず相手よりも多い数で、波状攻撃を繰り返したうえで、幻獣の命を最後まで削っているからです。

追放メギドは生まれ変わっているため、スタート地点はただのヴィータに過ぎません。

ただし潜在能力はヴィータより上です。簡単に言えば、鍛え上げられる肉体の上限が、普通のヴィータよりも遥かに上なのです。

もちろん、努力に努力を重ねて、戦士として極限まで鍛え上げた、というところまで行ってから、その上でさらに成長する余地があるということなので、転生メギドであれば誰でも潜在能力を引き出せるわけではありません。

たとえばアンドロマリウスやアムドゥスキアスはそういった努力を一切していないので、素の戦闘力という意味では、まるで話になりません。

一方で、戦士として経験を積んでいるブネやガープ、イポスやフォカロルといった面々は、単独でも幻獣に立ち向かえるほどの戦闘力を持っています。

不死者としてヴィータとは比べ物にならないほど戦闘経験を積んだパイモンたちや、同じくらい長い間戦士として戦ってきたシトリーは、並の幻獣ならメギドの力すら使わずに退けられる力さえ持っています。

また肉体的な潜在能力の他、頭脳による優位さを持つのが追放メギドの特徴です。

かつての記憶を取り戻している場合は、メギド時代の戦闘経験を参考にできます。 その記憶の中では、相手は幻獣よりも強いメギドたちだったわけですし、また同じではなくても、似たような幻獣を相手にした経験があるかもしれません。

このように、考えて戦うという面でも、ヴィータの戦士では及びもつかない戦い方を実践することができます。

これらの要素から、追放メギドたちは、あくまでヴィータという種族の延長上にはありますが、それぞれの経験を活かして幻獣と戦うことができるのです。

メギドラルでもヴィータ体となれば、普通のヴィータと変わらぬ食事をとります。

しかしメギドラルは、そもそも食事を楽しむという文化が希薄なため、「焼いただけの肉」「塩をかけただけの生野菜」「何かを煮た汁」などを栄養素として摂取する事が多いようです。

ヴァイガルドで食事に感銘を受けるメギドが多いのは、こういった栄養重視味度外視の食事が一般的だからです。

アムドゥスキアスの翼はメギドの力が具現化したもので、心の願望のようなものを反映しています。

その力の影響で空中に浮くこともできるようですが、それなりに疲れるので、ソロモンのそばにいない普段は、地面に降りて翼も意識的に消しています。

マルファスも翼が生えていますが、同様に不要な時は消すことができます。バイトや学校のときは邪魔だし、人目があるので消して隠しています。

どちらも翼が生えたのは、召喚後です。ソロモンに召喚された際、メギドの力の一部が恒常的に解放されるようになったためで、力が増すとよりはっきり形となって現れてきます。

メギド体への変身と違い、逆に意識しないと消えないものなので、軽い召喚事故のようなものなのかもしれません。

寝るときに邪魔なので翼を消して寝たつもりでも、いつの間にか翼が戻っていたせいで、マルファスはベッドから転がり落ち、アムドゥスキアスはふわふわ浮きながら目を覚ましたということがあったようです。

名前への執着はメギドによって大きく異なりますが、純正メギドは基本的に己の名前に強い執着を持っています。

その名前をさらに強い印象にするため、二つ名を欲しがるメギドも多いです。

そうした執着からメギドラルでよくみられるのは、軍団に軍団長の名前を冠することです（例：モラクス軍団。モラクスは転生した際も名前に強い執着を残し、自ら名乗りました）。

転生メギドは基本的にメギド名を名乗っていますが、ヴィータとしての名前をもらっている場合も多いので、それぞれのスタンスによって使い分けています。

頑なにヴィータ名を名乗らない者、逆にヴィータ名を同じメギドたちに対しても名乗る者もいます。

ただ多くは、普段の生活ではヴィータ名を名乗り、ソロモンと行動を共にしているときはメギド名を名乗るというパターンのようです。

そうした転生メギドたちは、メギド名と同様に、ヴィータ名にも執着があるのかもしれません。

複数の意味で回答できるのですが、まずすべてのメギドにとって、本来の姿であるメギド体は、基本的にはそのままで、加齢による変化はありません。

しかし戦闘の経験を積んだり、フォトンを大量に得たり、自己認識が変わったりした場合などに、形状が最適化されてメギド体が変化する、ということはよく起こります。

進化やリジェネレイトは、その変化の一種です。

次にヴィータの姿を取ったメギドが、ヴィータ同様に加齢でどうなるかと言えば、これも変化しません（純正メギドの場合です）。 基本的にはヴィータの姿をしたメギドは老化しないので、死ぬまで同じ外見です。

ただしヴィータの姿そのものを複数パターン持っている場合、または意識的に老人の姿を模した場合というのはあります。

その他なんらかの要因でヴィータ体が変化する（老化する）ことはありえますが、あくまで例外的なパターンです。

メギドラル社会では子供の姿をしたメギドを見かけることがありますが、これは「非戦期間（バナルマ）」といって、意識的に子供の姿を模倣しているのです（ヴィータの姿を取ったときに、その身体の成長ベクトルを大雑把に調整できます。同じ方法で老人になることもできます）。

非戦期間は、発生直後のメギドを生存させるための優遇処置なので、一定期間が終わると一気に成長した大人のヴィータ体を取るようになり、以降はそのまま変化しないのが一般的です。

最後に転生メギドがヴィータと同じように姿が変わるかといえば、一部例外はありますが、基本的には加齢によって成長し、姿が変わります。

軍団一の大食はダゴン、一番の小食はインプです。

ダゴンの大食は軍団の全員が認めるほどですが、実はおいしいもの以外はあまり食べようとしないので、軍団の食糧備蓄が心配されるような事態にはなりません。

どちらかといえばダゴンはアジトの「外」であれこれ食べているようです。

それ以外の大食いメギドたちは、キマリスが結構食い意地が張っていて（彼女の場合、グルメではなく、なんでも口にするため）大食いです。

またシトリーは、おいしいものなら腹がいっぱいでも食べる、自他ともに認める食いしん坊です。

変則的な大食いがオセで、彼女の場合は食べられるときに食べられるだけ食べる反面、以降数日はほとんど何も食べないという野性的な食生活です。

なにかおかしいと感じるほどではありませんが、普通に大食いという意味では、ブネやモラクス、ラウム、ボティスやエリゴスもモリモリ食べるほうです。

アスタロトもよく食べますが、彼女の場合は頭を使うとお腹がすくようで、食べ物に執着があるわけではありません。

また大食いではないですが、食べっぷりがいいという意味では、マルコシアスやセーレも食事を楽しみにしているメギドです。

一方小食方面のメギドたちですが、まずインプはなぜかほとんど食事をとりません。皆と食事をすることは多いのですが、食べ物を突っついてグリグリするだけで、ほとんど口にしないまま残します。

ただし贈り物なら喜んで食べるし、つまみ食いもよく目撃されるので、インプにとっては味や栄養よりも、食べ物をどう得るかというシチュエーションのほうが重要なのかもしれません。

他に小食として目に付くのは、アモンです。食べるということにあまり喜びを見出していないようです。ただしモノによっては目を輝かせることもあるので、極端な食わず嫌いなのかもしれません。

リリムも非常に食が細いタイプで、勧められれば少しは食べるのですが、ほっとくと一日中水さえ口にしないので、アジトの中なのに力尽きて倒れているところを何度か発見されています。

純正メギドなのですぐ死ぬわけではないのですが、最近はアガリアレプトやサキュバス、心配した周囲のメギドたちが頻繁におやつを差し出すようにしています。

また小食とは少し違いますが、ザガンは意識的に食べ過ぎないよう気を配っています（動きが鈍くなるのが嫌なのです）。

小食なのかどうなのか微妙なのが、オロバスです。食べているところを誰も見たことがありません。しかし話を聞く限りでは、食事を普通にとっているようです。

本当かどうかはわかりませんが。

整理整頓が得意なメギドといえば、フォカロルです。単に得意というだけでなく、他人のそれにまで口を出さずにいられません。

そういう意味では、人に整理整頓させるのも得意なメギドと言えるでしょう。

フォカロル同様に、性格が几帳面ゆえ整理整頓が得意なのは、アガリアレプトです。周囲の時間を停滞させられるので、一瞬で片付けてしまったように見えます。

ただ彼女の場合は、人にやらせるより自分でやってしまったほうが早いのと、自分に関係する部分だけちゃんとしてればいいと思っているので、整理整頓の場面を見る機会はほとんどありません。

きれい好きという性格から整理整頓が得意なのは、アイムとサラです。よくアジトの大広間でちょこちょこ出しっぱなしにしてあるものを片付けてくれています。

物質的な意味ではなく、情報を扱うという意味での整理整頓が得意なのが、フォラスです。その頭脳を生かして、アジトの様々な資料整理を担当しています。

ただしアジトの散らかし具合などに関しては、小言は言いますが手は動かしません（自分の家でのみ、積極的に掃除などを行います）。

ソロモンの面倒を見るという限定的な方面では、文句なしにアリトンが得意です。

ソロモンの部屋は、不在の間に（事前に主の許可を取りますが）アリトンが片付けてしまうので、いつも整理整頓された完璧な状態を保っています。

整理整頓はわかりませんが、それ以前に散らかさないという意味では、アクィエルも得意です。まるでこの世から消え去る準備でもしているかのように、常に周囲は片付いたままです。

常識的な範囲で整理整頓ができているのは、マルコシアス、カイム、ビフロンス、グシオン、パイモン、バエル、フリアエ、ヒュトギンたちです。

得意というほどではないですが、日常レベルでもちゃんとそのことを意識できているのは、メギドとしては珍しいほうです。

なぜならメギドたちは基本的に大雑把なので、整理整頓の類はちょっと苦手なのです。

残りのメギドたちはだいたい整理整頓が苦手なほうになりますが、特出してそれが苦手なのは、片付けられないメギド、シトリーと、混沌の化身アスモデウスです。

どちらも「片付ける」と聞くと、まず敵を思い浮かべるそうです。

主だった料理が得意なメギドたちが得意とするのは、以下のような料理です。

フルフル
得意料理は極めて多いが、アジトではミートパイや焼き立てのパンが、特に人気。ただしたまに寝落ちして失敗することと、時々当番にも関わらずアジトに現れないという欠点がある。

アイム
魚や肉など、焼き加減が良さを左右する料理が得意。ただしプロの料理人ではないので、黒焦げレベルの失敗もする。

アミー
大人数で食べられるような料理が得意、蒸かした肉詰めや野菜の炒め物など。ただし質より量と考える人なので、忙しいと味付けが適当になる上、料理を残すと怒られる。

ティアマト
煮込み料理やスープ、特にお肉をトロトロに煮込んだ濃厚なスープが絶品。ただし機嫌を損ねた場合、できあがった料理を食して命の保証はできない。

料理が得意なメギドたちとはいえ、なんらかの欠点はあるのです。

ハックの好きな筋肉は、そのとき注力してるトレーニングに左右されるためランキングにするのは難しいのですが、確実にここは好き、大事にしてるという部位はいくつかあります。

大腿四頭筋
ハックの一日はスクワットに始まり、スクワットに終わります。戦闘後にも軽くももを上げて刺激を与えることに余念がありません。しかしトレーニング後には念入りにマッサージを施して、特に大事にしています。

三角筋
「三角筋のない肩なンぞ刃のない刀じゃ」とハックは語っているとかいないとか。形の整った三角筋は、鍛え上げられた証明であり、肉体という王国１人１人に与えられた紋章のようなものなのです。

脊柱起立筋
背中側にある細長い筋肉ですが、下半身を安定させる重要な部位です。ここをしっかり鍛えておくことはトレーニングの精度を上げ、効果を高めます。つまりトレーニングのためのトレーニングとして鍛えるべき部位。鍛錬マニアのハックが大事にしているのがよくわかります。

あまりマイナーな部位はなく、どれも筋肉を鍛える上では基本的なものばかりですが、そこを一番大事にするからこそ、ハックの筋肉愛は本物だともいえるのです。

ちなみにマルチネには、ハムストリングを鍛えることを指示したそうです。基本は大事なのです。

お酒に強いのはガミジン、ブネ、ベリト、メフィスト、フラウロス、サタナキアなどです。

それほど強くはないものの、よく飲むほうなのはイポス、カスピエル、インキュバス、サルガタナス、バールゼフォン、それとシトリーです。

シトリーはお酒そのものが好きではないのですが、料理に合うと言われると、ついつい飲んでしまいます。

逆に弱いのはウァレフォル、サタナイル、フルーレティ。酒を全く飲まないのは、フォルネウスです。

ちなみに決して弱くはないのですが、マルコシアスなどはついつい潰れるまで飲んでしまうほうです。

ボティスが社交的に見えないのは、あまり集団の中でイキイキと輝くタイプではないからかもしれません。

ボティスだけをフォーカスすれば、あんな素敵なお姉さんはいないとわかるはずです。

ちょっと男をダメにする傾向はあるかもしれませんが、それはダメになる男の側が悪いのであって、ボティスのせいではありません。

ボティスは面倒見がよく、献身的で、自己犠牲を厭わず、理知的で社会常識をよく理解し、きちんと行動できる大人の女性です。

メギドラルから信頼を裏切られた過去のせいで、面倒見と献身と自己犠牲がやけに強まってしまっている以外は、なんの問題もありません。

実際に、有言実行で軍団に貢献する彼女を、ソロモンや多くのメギドたちが信頼しています（ボティス自身はその信頼をいまいち信じ切れていないようですが）。

普段のボティスは、イポスやパイモン、アミーやウァレフォルなど、ノリは軽くても約束をきちんと守るタイプの大人たちと仲良くしています。 特にイポスやアミーとはウマが合い、アジトでもよく話すし、外でも会ったりしています。

ただボティスはこれといった趣味を持たない性格なので、極端に話が弾んだり、ベッタリ一緒に行動するような意味での仲のいい相手というのは、まだいないようです。

ボティスが信頼を得るために心がけていることは、上でも述べたように「有言実行」です。

それをちゃんとできているボティスは十分信頼に値すると思うのですが、困ったことにボティス自身はそれだけでは不安なようで、さらに自分を投げ捨ててまで相手に尽くそうとしてしまうところがあります。

そこがちょっとだけ重くて、仲間たちも引いてしまっています。

騎士団に入ってからのストラスは、普通じゃないエピソードを続々と生み出しています。

たとえばとある街道にて、落ちてきた重い岩を動かせずに困っている人々を助けるため、ハンマーの一撃でそれを粉砕しました。

以降その場所は『ストラススポット』と呼ばれ、旅人が困難から身を守る加護を得るために訪れる、密かな観光名所となりました。

また、重い鎧を身にまとったまま街を疾走するという騎士団の訓練では、着込んだ鎧の最重量記録と街を一周した最速記録とを、同時に達成しました。

その姿は密かに『ストラスストライカー』と呼ばれ、目撃した街の人々にトーア騎士団の最終兵器が走ってると噂されました。

最近では、密かに近隣から押し寄せた悪の秘密結社「ドラゴンスレイヤー」の軍勢１万人をたった１人で倒し、そこに捕らえられていた某国の王子を助け出して、ひと夏の甘い時間を過ごしたという『ストラスロマンス』が出版され、トーア公国を中心にヒットを飛ばしています。

グリマルキンが猫の姿をしているのはかなり特殊な現象で、ベヒモスとはまったく違う、独自の由来となります。

メギドラル時代のグリマルキンは、ヴィータ体を取ろうとしないメギドでした。マグナ・レギオの勢力圏にいたメギドながら、どこの軍団にも所属せず１人でひっそりと暮らしていたのです。

それがルール違反であることを知っていたグリマルキンは、中央から迫害されず過ごすために、ある裏技を編み出しました。ヴィータではなく、猫の姿を模倣したのです。

もともとグリマルキンは猫至上主義で、異世界ヴァイガルドを支配しているのはヴィータではなく猫、だから本来ならメギドが模倣すべきなのもヴィータではなく猫だと信じている、変わった思想の持ち主だったのです。

猫の姿を模倣するのに成功したグリマルキンは、メギドラル猫としてちゃっかり拒絶区画（レジェ・クシオ）に出入りしていましたが、マグナ・レギオはそこまで甘くありません。

グリマルキンの存在はとっくに把握され、猫のままでもいいから戦争に参加するように迫られたのです。

長くなるので経緯は端折りますが、グリマルキンは猫の姿だったため護界憲章には抵触せず、ヴァイガルドへの亡命に成功しました。

メギド体に戻れば護界憲章に消されてしまうのはわかっていたので、猫の姿のまま自由気ままにヴァイガルドで暮らしていたのです。

それからいろいろあって、グリマルキンがソロモンに召喚された際、ちょっとした事故が起こりました。 ソロモンの指輪はグリマルキンを召喚して再構成する際、猫ではなくヴィータの姿で実体化させたのです。

召喚されたグリマルキンは、指輪の力でメギド体に戻ることもできるようになったうえ、指輪に頼らずとも護界憲章には抵触しないヴィータ体と猫体ならいつでも自由に変身できるという恩恵を得ました。

グリマルキンにとってヴィータ体は、召喚されたことで初めて得た第３の形態なのです。

アスモデウスくらい古いメギドの常識では、メギドは常にメギド体のままその威容を示し、相手を圧倒するのが「正しいメギドの在り方」なのです。

転生してヴィータ体になった（厳密にはそれ以前にヴィータ体でヴァイガルドを訪れているのですが）後でも、アスモデウスの意識は古いメギドのままなのです。

自分を曲げることをしないアスモデウスにとって、たとえ脆弱なヴィータの姿であろうと威容を示し、相手を圧倒しなければなりません。

捕食者のカマキリが獲物に対してカマを持ち上げるように、百獣の王が敵に牙を剥き毛を逆立てるように、あの一連のポーズは、アウモデウス流の相手を圧倒するための動きです。

己の姿を誇らしげに示し、アスモデウスという存在を叩きつけるための儀式なのです。

直後にメギド体になるので別にいらないんじゃないかとも思いますが、指輪に召喚される前から、アスモデウスは不死者としてあのポーズを死すべき敵に対して示してきたのです。

わかりやすく言えば、アスモデウスは今のヴィータの姿をなんだかんだで気に入っているので、あのポーズをしたいのです。

同じような感覚を持っているメギドは他にもいるので、奥義のときのポーズをよく観察して、彼らの意識を探ってみてください。

プルソンは、ちゃんと実家には帰っています。実家を飛び出したまま連絡してない発言は、実はちょっと大げさに言っています。

実際には召喚後に一度家に帰っており、いろいろ報告をしています。

詳しく説明するとプルソンは、実家とは違う場所の街の学校へ通うために既に家を出ている状態なのです。

だから教育ランクを終了した後もプルソンはその街に住むつもりだったし、両親もそれを承知してるので、もうプルソンの部屋自体が実家にはないのです。

少し早いですがプルソンは独り立ちしている状態であり、そのことを大げさに「実家を飛び出したまま」と言っているのです。

連絡うんぬんも、手紙すら書かない俺は、実はそれどころじゃなく世界の命運を背負って戦ってるんだぜ！という気持ちで言っているだけなので、あまり心配しなくても大丈夫です。

そもそもプルソンには仲のいい友達や親しい街の人たちがいるので、実家がありアジトに部屋をもらってはいますが、意識的には彼の拠点は学校のある街なのです。 彼はそこを守るために戦っています。

ちなみにプルソンは両親に、自分はメギドだったんだ！と興奮気味に話したのですが、反応はふーんというものだけでした。

単純に両親がメギドというものを全く知らなかったのと、プルソンは子供のときから「俺は学者になるんだ！」とか、セミの抜け殻を探してきて「俺はすごいものを見つけた！」などとやっていたので、いつものアレだろう程度にしか思われなかったようです。

ハックの髪は、最初からあの状態のままヴィータ体として構成されています。

この辺はちょっと不思議な話なのですが、ハックのあの身体つきは、実は鍛えてああなったのではありません。 ハックがヴィータ体を模倣する際、ある程度まで「そのように」作り上げたのです。

筋肉や骨格などにイメージを集中させたせいか、髪の毛のようななくても困らない部分にはあまり気が回らなかったようです。 だから頭に毛根自体が存在せず、放っておいたままでもなにも生えてきません。

一方筋肉は鍛え続けないと維持されない、また鍛えることでさらに強化されるということを後々学んだので、ハックは鍛錬を続けています。

己の生み出した技を最適に繰り出すためには、どこを強化してバランスを取るべきか、己の身体をサンプルに筋肉の研究を続けているのです。

サレオスの場合はヴィータに転生しており、ちゃんと毛が生えるので剃っています。 つやつやにするために磨くまでしています。

もし髪を伸ばしていたら、髪の色は眉毛と同じ色のはずです。

オロバスは、ちょっと規格外に長命のメギドです。

ヴァイガルドに転生してから長く生きているタイプではなく、追放前の段階で誰よりも長命だったという変わり種メギドなのです。

どのくらい長生きかというと、メギドラルの中央議会がアルス・ノヴァからマグナ・レギオに移行した当時からずっと存在していたメギドです。

誰もがメギド体のまま生きて死んでいった時代のメギドであるため、感覚としてフォトン節約のためにヴィータ体になるという発想がなかなか理解できず、現在のマグナ・レギオ体制にはまるで馴染まない存在でした。

そんなオロバスが追放刑を受けた結果、ヴィータに転生できたのは、奇跡と言っていいレベルの出来事なのです。

ただし本当に「転生に成功している」のか、今一つ怪しい感じがするのは、見ての通りです。